特集『高配当&高成長!NISAで狙う日本株』(全20回)の#11では、金融環境の激変で変化が起きつつある不動産セクターを分析する。2桁成長を継続してきたオープンハウスが減益予想となる一方、足元では大手不動産の株価が急回復しているのだ。一般的には「インフレ」は不動産には追い風と言われるが「主役交代」が起こるのか。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
直近10年はTOPIXに完敗の不動産
インフレ転換で逆襲が始まる!?
直近10年で業績を急拡大させた企業がオープンハウスとヒューリックだ。#3の「増収増益ランキング」では半導体関連やIT銘柄が上位に目立つ中、9位と34位に登場している。
オープンハウスは東京23区および周辺域にコンパクトな住宅を提供して急成長。共働き世帯増加による職住接近需要や、高騰するマンションと比較した「割安さ」を武器に業績を伸ばした。
ヒューリックは「果敢に不動産の取得、売却を行い、積極的に資産を回転させることで急成長」(モルガン・スタンレーMUFG証券の姉川俊幸アナリスト)。不動産セクターで財閥系3社に次ぐ、時価総額4位に躍り出た。
ただし、この10年間で見ると不動産セクター全体の株価は低迷している。日経平均株価が2.3倍に上昇したのに対して、なんとTOPIX不動産業指数は下落しているのだ。「業績は悪くない」にもかかわらずである。特に三菱地所の株価は14年初と比較すると30%前後も下落している(下図)。
2023年以降、時価総額上位の財閥系不動産の株価が大きく上昇に転じるなど流れが変わりつつあるが、今後はどうなるのか。直近で不動産株が盛り上がったのは07年、13年、16年などだが、今回こそ完全復活となるのか。
次ページでは、この10年間不動産セクターの中で勢いがあったオープンハウスとヒューリック2社の分析に加えて、これから有望な企業についても解説。ある条件が達成されれば、財閥系が復活するというが、その条件とは?インフレという経済の大転換の中、不動産業界でも主役交代が起こるのかを予測する。