狙え!不動産リッチ企業#5Photo by Yuito Tanaka

不動産リッチ企業の西武ホールディングスが、プリンス系ホテルなどが入る複合商業ビル「東京ガーデンテラス紀尾井町」(千代田区)を約4000億円で売却する。買い取る米系投資会社ブラックストーン・グループ・ジャパンの橘田大輔代表がダイヤモンド編集部の取材に応じ、「1兆円でも買えるなら買う」とさらなる不動産投資に意欲を示した。次のターゲットはどこか。特集『狙え!不動産リッチ企業』の#5で、橘田氏のインタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

ホテル収支改善へ、オフィス需要も追い風
「5~7年でバリューアップは十分可能」

――東京ガーデンテラス紀尾井町の買収額4000億円は、ブラックストーンのみならず外資系ファンドの国内不動産投資で過去最大規模とのことですが、この価格の妥当性はあるのですか。

 4000億円は高いと思われるかもしれませんが、われわれが望むリターンを十分取れると考えています。西武(ホールディングス)さんと協働し、不動産の価値をまだまだ向上させられる。その自信があります。

 例えばホテルに関しては、われわれがグローバルで培ったホテル経営のノウハウを生かし、レベニューマネジメントを改善します。フォーシーズンズホテルやブルガリ ホテルといったラグジュアリークラスじゃなくていい。9万~10万円の客室単価で収益を最適化させることは十分可能です。

 近鉄(グループホールディングス)さんから買い取った都ホテルもそうでしたが、親会社と全く違う第三者がオーナーになることで緊張感が生まれる。一方でホテルがやりたいことをしっかりバックアップする。できる部分はまだまだあります。

 オフィスに関しても、需要が極めて大きい。企業のオフィス回帰が強まっており賃料を上げる余地はある。この追い風は当面続くと思います。

 住宅に関してはいろいろと今シミュレーションをしていますが、東京都内でもあれだけの立地にホテル、商業施設、レストラン、スーパーマーケットが併設する高級マンションは実はそれほど多くない。例えば分譲にすれば今よりはるかにバリューが上がるかもしれない。

――イグジット(投資回収)はどのぐらいの期間で考えていますか。

 一般的な5年から7年ぐらいでバリューアップは十分可能です。ただ誰にでも売っていいわけではありません。西武さんの“トロフィーアセット”をお譲りいただくので、われわれが出口を迎えるときも西武さんが納得していただける方にお売りしたい。

西武ホールディングスは、不動産の含み益が大きい企業の16位にランクインする(本特集#1『【不動産の含み益が多い企業ランキング100】JR東日本、日本郵政、イオンがトップ10にランクイン!1位は5兆円近いあの企業』参照)。不動産リッチ企業は西武HD以外にも日本国内に多い。ブラックストーンは具体的にどういった企業の不動産を次のターゲットに見据えているのか。次ページで明らかにする。