これは目標をつくるベースとなる、自分にとって大切なものや仕事の軸となるものです。
わかりやすい例でいえば、「将来、医者になりたい」というのは目標で、「ピンチの人を助ける存在でありたい」という目標の奥にある価値観がキャリアの目的となります。
目的がしっかり定まっていれば、医者になることを断念しても、ピンチの人を助ける存在として、「警察官」「教師」「カウンセラー」などほかにもいろいろな目標を見つけることが可能になります。
最初に「キャリアの目的」を
すり合わせる3つの意味
目標を次々に生み出す土台となるものが「キャリアの目的」ということです。最初にキャリアの目的をマネジャーとメンバーでつくっていく意味は3つあります。
1つ目は、心理的安全性の構築です。お互いの大事にしているものをさまざまな観点で深掘りして理解し合うプロセスで、心理的安全性を築くことができます。
2つ目は、仕事の意味づけです。キャリアの目的を知ることで、今後の仕事をどのように意味づけ、意義づけをしていくとよいかが見えやすくなります。
3つ目は、目的をマネジメントのベースにすることで、メンバーとの不毛なコミュニケーションを減らすことができます。これは特に若い世代のマネジメントに有効になります。
今、組織の中でキャリアについての認識は年代による大きなねじれ現象が起きています。
シンプルにいえば、個人差はあるにせよベテラン社員は「自分のキャリアのことを考えなすぎ」で、若手社員は「自分のキャリアを考えすぎ」というねじれです。
目標の明確な若手社員に、目標とは直接つながらない仕事をアサインしても断られたり、いきなり退職されたりするという話を最近よく聞くようになりました。基本、目標は絞り込まれる方向になってしまいます。一方、目的ベースでメンバーとつながることができると仕事に対して柔軟な態度を醸成することができます。