「あと1点足りなくて不合格……」。そんな経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。『5科目50年分10000問を分析した東大生のテストテクニック大全』(ダイヤモンド社)の著者であり、2025年1月スタートのTBS日曜劇場「御上先生」(主演・松坂桃李)で教育監修をつとめる西岡壱誠氏によると、テストには「あと1点を取るためのコツ」があると言います。「まじめに勉強に取り組むだけではなく、テクニックを使って1点でも点数を取る。それも実力」。そう語る西岡氏に、今回は先日の「共通テスト」について聞きました。

「共通テスト国語」テクニックを使えば一発で解けた問題とは?Photo: Adobe Stock

共通テストは「テクニック」で格段に解きやすくなる

2025年1月18日・19日、大学入学共通テストが実施されました。

今年から共通テストは新しい学習指導要領に対応した試験になっており、従来の試験問題から大きく異なる科目も多かったです。

さて、共通テストは「テクニックが使えない試験である」とよく言われます。センター試験では知識を問う問題が多く、テクニックを使えば解けた。しかし共通テストではよく頭を使って考えなければ解けない、思考力を問う問題が多く、テクニックは使えなくなっている、と。

しかし自分は、全くそんなことはないと思います。今回の共通テストでも、テクニックを使うと格段に解きやすくなる問題がありました。この記事では、テクニックを使えば解けた国語の入試問題について解説したいと思います。

実際にテクニックで解けた問題とは?

テクニックが有効だった問題は、国語の第1問の問6です。問題文は下記の通りです。

傍線部F「観光における『見る/見られる』を考えるうえで、サファリパークは示唆的である。」とあるが、文章中に示された「見る/見られる」の事例との関係において、サファリパークはどのような意味で「示唆的」であると考えられるか。その説明として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
(出典:共通テスト 国語 第1問 問6)

「」の言葉に注目

この、「示唆的」というワードに注目です。国語の問題に対応するためのテストテクニックとして、「語彙力を高めておき、その言葉の本質を捉えることで読解に活かす」というものがあります。この問題では、「示唆的」に「」がついて強調されており、これが解答の根拠になることは一目瞭然です。

まず、示唆とはどういう意味でしょうか?

「示す」という動詞がありますから、「何かを指し示すことなんだろうな」と思う人は多いと思います。

しかし、「示唆」の理解は、「何かを示すこと」だけでは不十分です。示唆は、「暗に何かを示すこと」です。つまり、直接的に言及するのではなく、間接的な形で示していることを「示唆」と言うのです。

ですから、「示唆的」とは「明示されていないけれども間接的にそうだと判断できるような形で断片的にほのめかされていること」です。