元競泳選手の北島康介元競泳選手の北島康介 Photo:Christopher Jue/gettyimages

元競泳選手の北島康介と
現代美術家の村上隆

 都内・豊島区にある男子のみの私立中高一貫校だ。文武両道を旨としており、難関大に着実に合格者を出す一方、スポーツ選手や美術家などとして活躍している卒業生も多い。

 知名度抜群の卒業生がいる。元競泳選手の北島康介だ。2004年のアテネ五輪、08年の北京五輪の男子100m、200m平泳ぎで金メダルを取った。五輪の競泳で2大会連続2種目制覇を成し遂げた選手は、日本人として初めてだった。

 北島は1982年9月に荒川区の精肉店を経営する両親のもとで育ち、文京区の公立中学を経て本郷高校―日本体育大・体育学科―日体大大学院中退というコースを歩んだ。

 5歳の時から東京スイミングセンター(東京SC)で水泳を始めた。本郷高校3年時の2000年シドニー五輪に出場し、100m平泳ぎで4位に入賞した。アテネ五輪の100mで金メダルを取った後のインタビューでは「チョー気持ちいい」とコメント、この年の新語・流行語大賞の年間大賞に選ばれた。

 2012年のロンドン五輪では、100m、200mともメダルは取れなかったが、男子400mメドレーリレーで第2泳者として出場、銀メダルを獲得した。

 16年4月に現役引退を表明し、以降、指導者の道を歩んでいる。20年には東京都水泳協会会長に就任、23年には国際水泳殿堂から表彰された。また、アスリートのマネジメント事業やスイミングスクール『KITAJIMAQUATICS』などを運営する企業であるIMPRINTの社長兼CEO(最高経営責任者)を務めている。

 本郷高校水泳部出身の五輪選手は北島のほか、三浦広司(88年ソウル、バタフライ)、中野勉(92年バルセロナ、自由形)がいる。

 著名な卒業生を、もう一人挙げてみよう。現代美術家、ポップアーティストの村上隆だ。アニメ、フィギュアなどサブカルチャーのオタク系の題材を用いた作品が有名だ。

 村上は、1980年に本郷高校普通科を卒業、2浪して東京芸術大美術学部日本画科で学んだ。東京芸大大学院修士課程の修了制作が首席とならず次席であったために、日本画家への道を断念した。1993年に東京芸大の博士後期を修了、博士号を取得した。

 2001年にはアート制作やアーティスト・マネジメント企画会社である総合商社を設立、08年版の米タイム誌で「世界で最も影響力のある100人」の一人に選ばれた。16年には「五百羅漢図」(高さ3m、幅100m)で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した。米国や日本国内で何度も展覧会が開かれている。最近では京都市京セラ美術館で『村上隆 もののけ 京都』(24年2月3日~9月1日)があり、盛況だった。

 学者・研究者では、国文学者で歌舞伎、人形浄瑠璃、邦楽などの調査研究をした景山正隆がいた。東洋大教授を務め、文化財保護審議会専門委員などを歴任した、2022年8月、99歳で死去した。

 気鋭の医師では、精神科専門医で王子こころのクリニック(東京都北区)の院長・杉下和行がいる。本郷高校を経て東京大医学部を卒業、東大病院メモリークリニック外来(物忘れ外来)を担当した。

 水谷圭一は京都大学大学院情報学研究科准教授だ。東京工業大で博士号を取得、ドイツに留学し、帰国後には独立行政法人情報通信研究機構ワイヤレスネットワーク研究所研究員などに就いた。