ヒッグス粒子発見実験で
まとめ役となった浅井祥仁
石川県金沢市郊外にある男女共学の高校だ。日本海側では唯一の国立高校で、隣接して附属中学もある。卒業生は全国ベースで活躍する者が多いが、地元企業の経営者などもいる。地元での略称は「附属」だ。
明治時代に創立され百数十年の校歴がある公立高校とは違って「附属」は戦後派高校なので、「碩学」あるいは「○○学の創始者」といえる学者は見当たらない。しかし、1学年が120人という小規模ながら、気鋭の学者や研究者が多数、巣立っている。
理系の学者では、2013年に45歳で東京大教授になった浅井祥仁がいる。13年のノーベル物理学賞は、物質に質量を与えるヒッグス粒子の存在を予言した欧州の2人の科学者に授与されたが、浅井はそれを実験で確かめる東大チームのまとめ役をした。
大阪大免疫学フロンティア研究センター教授で分子生物学が専門の長田重一は、アポトーシス研究の第一人者として知られ、ベルツ賞、コッホ賞など内外から多くの学会賞を受賞し、文化功労者にもなっている。ノーベル生理学・医学賞受賞の期待がかかっている。
分子生物学者では、米国ウィスター研究所教授の西倉和子や、元東大教授の石浦章一がいる。石浦は、遺伝子関連の一般向け著書を多く執筆している。
宮野広は慶応大工学部を卒業後、東芝に入社し原子力技師長などを務めた。その経歴から日本原子力学会の福島第一原子力発電所廃炉検討委員会委員長を務めた。法政大、早稲田大で教壇に立った。