“オルカンの次”は何を買う!? 新NISA「つみたて投資枠」「成長投資枠」の使い分けと初心者向き・中上級者向きの活用法を解説

新NISAは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が同時に使えて、投資の自由度が高いことが魅力。2つの枠の使い分けがポイントとなりますが、そこで悩む人も多いことでしょう。2年目のNISAでは、“オルカンの次”も考えたいところ。それぞれの枠の位置付けを考えれば、買うべきモノも自然に絞り込まれてきます。『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った 新NISAで買うべき株＆投信77 2025年度版』から、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の活用法の基本を解説します。

「つみたて投資枠」で世界へ分散投資し“土台”をつくる
「成長投資枠」は株やアクティブ投信で“上乗せ”を狙う

　新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの“枠”があり、買えるモノが違います。2つの枠が同時に使えて投資の自由度が高いことが、旧NISAと比較した大きな魅力。一方で、悩む人が多いのが、その使い分けです。投資対象として「オルカン*」（全世界株型インデックス投資信託）が大人気ですが、2年目のNISAでは、“オルカンの次”も考えたいところ。まずはその前に、制度の概要をおさらいしましょう。

「つみたて投資枠」で買えるのは、主にインデックス投資信託とバランス型投資信託。それも、金融庁が定める条件を満たした、約300本に限定されています。投資方法は積立のみ。アクティブ投資信託なども一部買えますが本数はわずかで、株式は対象外です。

　一方、「成長投資枠」は基本としては“何でもあり”。インデックス投資信託もアクティブ投資信託も、そして株式も幅広く買えます。口座を開いた金融機関が取り扱っていれば、米国株などの外国株や、不動産に投資するリート（REIT）、株と投信の中間的な金融商品であるETFも対象です。投資方法も自由で、積立も、自分が好きなタイミングで好きな金額分を一括で買うスポット購入もできます。

　ではそれぞれで、何を買うべきでしょうか。基本の考え方としては、「つみたて投資枠」が“土台”で、「成長投資枠」がより大きな利益を狙う“上乗せ”です。そう捉えると、買うべきモノも自然に絞り込まれます。

　まず「つみたて投資枠」では、全世界の株に広く分散投資するインデックス投資信託（「オルカン」など）がオススメとなります（連載第5回を参照）。世界経済を引っ張る存在である、米国の株のインデックス投資信託も選択肢です（連載第6回を参照）。リスクを抑えることを重視したい、という人はバランス型投信でもいいでしょう。これらで、資産形成のベースをつくります。

　その上で「成長投資枠」では、リスクは高めでも大きな利益が期待できる株やアクティブ投資信託を買って、より大きな資産の成長を狙うのです。

オルカンでは物足りない人は自分で組み合わせ
ただし投資額は無理のない範囲で！

　あとは投資の経験やスタイル、そして資産の状況によって、さまざまな組合わせパターンが考えられます。

　たとえば投資初心者や、あまり大きなリスクはとりたくないという人は、“土台”の「つみたて投資枠」だけでも構いません。資金に余裕があるなら、新NISA全体を“土台”として、大きな金額の積立を行うこともできます。「つみたて投資枠」の対象投信のほとんどは「成長投資枠」でも対象となっているため、両方で同じインデックス投資信託を積立可能です。

　オルカン（全世界株型インデックス投資信託）の中身は、米国が約7割で、日本は5％程度、その他先進国が約15％、新興国は約1割です。このオルカンの配分に不満な人もいるかもしれません。その場合は、米国株型や先進国株型、日本株型、新興国株型のインデックス投資信託を自分好みの比率で組合わせるといいでしょう。

　新興国株型インデックス投資信託の代わりにインド株型アクティブ投資信託を買う（連載第8回を参照）、日本株型のアクティブ投資信託でオルカンを補完する（連載第7回を参照）、といった方法もあります。

　特定口座の投信や預貯金などで十分な資産の“土台”がある人は、「成長投資枠」だけ使うのも手です。新NISAでは株などを目いっぱい買って、非課税で有利に資産の上乗せを狙うわけです。

　重要なのは、新NISAの中だけでなく、資産全体でのバランスを考えること。また、枠は“使いきらなければいけない”ものではありません。投資額は、無理のない範囲で。少額でも構わないのです。新NISAは無期限の制度ですから、時間をかけてコツコツ増やしていく心構えでいきましょう。

＊「eMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー）」の通称。

※本稿は、ダイヤモンド・ザイ編集部編『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った 新NISAで買うべき株＆投信77 2025年度版』（ダイヤモンド社）から再構成したものです。