新NISAで「オルカン」に次ぐ人気の米国株型のインデックス投資信託。好成績で、超低コストの投信も豊富です。2024年には新規設定や信託報酬の引き下げが相次ぎ、1年前から低コストランキングは激変しています。『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った 買うべき株&投信77 2025年度版』から、米国株型インデックス投資信託の低コスト最新ランキングと、買う際の注意点を紹介します。
S&P500など米国株型は新NISAでもオススメ!
10年で350%超の上昇と成績も絶好調
新NISAで高い人気を持つのが、米国株型のインデックス投資信託。中でも、S&P500に連動するタイプは「オルカン」に次ぐ人気を誇っています。
オルカンなどの全世界株型と同様に、米国株型のインデックス投資信託も、新NISAで買う“キホンの1本”としてオススメです(全世界株型については、「オルカン」は安さでは2位! 最安の投資信託に乗替えるべき!? 新NISAで買える超低コストの全世界株型インデックス投信ランキングの記事を参照)。成績は好調で、米国株の代表的な指数の1つであるS&P500は5年の上昇率が177.7%、10年では357.7%におよびます(2024年9月末時点)。
さらに、超低コストの投資信託も豊富です。2024年には人気を受けてコスト競争が激化。新規設定や信託報酬の引き下げも相次ぎました。そこで、米国株型インデックス投資信託の、2025年版低コスト最新ランキングを紹介しましょう。ちなみに2024年版の1位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」でした。
2024年1位の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は4位に!
しかし2025年のトップ3は買える金融機関が限られる
1位は「つみたてiシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド」(愛称「つみたてS&P500」)。ただし、この投資信託の“最安”は期間限定です。信託報酬0.05860%は2026年5月7日までで、2026年5月8日以降は0.09072%となります。また、買えるのはマネックス証券とイオン銀行、SBI新生銀行のみ。イオン銀行とSBI新生銀行の取扱はマネックス証券への委託のため、実質的にマネックス証券専用の投資信託です。
「つみたてS&P500」を除くと最安は「ステート・ストリートS&P500インデックス・オープン」、次いで「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」。しかし、この2本も販売会社が限定されています。それらの販売会社に新NISA口座がある人にとっては良い選択肢ですが、幅広い金融機関で買える万人向けのオススメ投資信託としては、オルカンと同じeMAXIS Slimシリーズの4位「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」となるでしょう。
なお「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、2025年1月25日より信託報酬を0.09240%から0.08140%へ引き下げると発表しています。それでも4位は変わらず「ステート・ストリートS&P500インデックス・オープン」とは0.0066ポイントの差がありますが、前回の連載で解説したように(「オルカン」は安さでは2位! 最安の投資信託に乗替えるべき!? 新NISAで買える超低コストの全世界株型インデックス投信ランキングの記事を参照)、この程度の違いは成績にはほとんど影響しません。その意味で5位の「たわらノーロード S&P500」以下も、十分低コストといえます。
オルカンと米国株型を組合わせると
分散どころか偏りが強くなるので注意
先述のとおり、米国株型のインデックス投資信託は“キホンの1本”としてオススメです。通常、海外の1つの国だけに投資するのはリスクが高いのですが、米国は例外。世界経済を左右する存在で、米国の株価が不調の時には、他の国の株価も不調となるためです。
ただ、米国株型のインデックス投資信託の中でもさまざまなタイプがあります。ポイントは、“どの指数に連動するか”。S&P500はカバーする範囲も広く、多くの投資信託に採用されています。もう1つの有名な米国株指数であるNYダウと比較すると、S&P500はハイテク株の比率が高く、長期で見た上昇率で上回ります。つみたて投資枠ではNYダウ連動型のインデックス投資信託も購入可能ですが、信託報酬は最安で約0.25%と高め。S&P500連動タイプを選んで問題ないでしょう。
米国株のさらに広い範囲をカバーする指数としてCRSP US トータル・マーケット・インデックスもありますが、中小型株を含むため値動きはやや大きめです。
注意点は、米国株型のインデックス投資信託と他の投信を組合わせて買う場合。たとえばオルカン(全世界株型)は投資先の約7割を米国株が占めます。分散投資のつもりでオルカンと米国株型のインデックス投資信託を併せて買うと、米国株の比率が約8割に上がります。偏りがかえって強くなるので注意しましょう。
※本稿は、ダイヤモンド・ザイ編集部編『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った 新NISAで買うべき株&投信77 2025年度版』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。