最近、高成長の投資先として大きな注目と人気を集めているのがインド。制度上、個別株を買うのは難しいため投資手段は投資信託となります。そしてインド株では、インデックス投資信託よりアクティブ投資信託のほうが有利です。ただし、成績の良しあしが大きいので優良なものを選ぶことが重要。『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った 買うべき株&投信77 2025年度版』から、好成績のインド株型アクティブ投信の例と、買う際の注意点を解説します。

将来の成長への期待が大きい一方で
オルカンのインド株比率は2~3%

 新興国は成長ポテンシャルが高いことが魅力。投資しておけば将来、資産を大きく上乗せできる可能性があります。中でも熱い視線が注がれているのがインド。今や新興国の代名詞といえる存在です。

 オルカンなど全世界株型のインデックス投資信託を買えば、1本で世界中の株に分散投資できます。しかし投資先の中身を見ると、オルカンではインド株は2~3%しか組入れられていません。それでは物足りないという人は、インド株に特化した投資信託を狙いましょう。

 そしてインド株への投資では、インデックス投資信託よりもアクティブ投資信託が有利だと、専門家は口を揃えます。インドは株式市場が未成熟で、現地でのファンド運用にかかる税金の問題などもあり、インデックス投資信託が市場の動きに十分に追随できていないためです。

 実際に、指数を上回る好成績の投資信託も豊富です。ただし、インド株型の中でも大きな成績の差があります。せっかく買うなら、優良なものを選びたいところ。好成績のインド株型投資信託を1本紹介しましょう。

「SBI・UTIインドインフラ関連株式ファンド」は
政策の追い風を受けて安定した好成績

インド株型の好成績アクティブ投資信託※成績とグラフ、組入れ上位銘柄は2024年9月末時点。他のデータは24年10月11日時点。指数はSENSEX(円換算・配当込み) 拡大画像表示

SBI・UTIインドインフラ関連株式ファンド」は、エネルギー、建設、通信などインフラ関連の企業に投資するアクティブ投資信託。インフラ整備に注力する政策の追い風も受けて、成績は好調です。5年の上昇率は、インド株指数(SENSEX)の157.0%に対し197.9%。1年・3年・5年のどの期間でも指数を大きく上回り、インド株型の投資信託の中で5位以内をキープしています(2024年9月末時点)。

 さらに、最大下落率*がタイプ平均より抑えられていることにも注目。インドのインフラ関連株投信はいずれも成績好調で、上昇率で見ればもっと高いものもあります。半面で値動きが大きく、たとえば「HSBCインド・インフラ株式オープン」は5年の上昇率が265.6%、上昇率はインド株型の1年・3年・5年で1位を誇る一方、最大下落率も-42.9%でワースト。それに対して「SBI・UTIインドインフラ関連株式ファンド」は、相対的に安定した好成績が魅力です。

インド株はハイリスク・ハイリターン
大幅下落でも耐えられる投資額で積立投資を!

 インド株市場は2024年9月以降、調整局面に入り下落が続いていますが、長期で見れば今後の上昇が期待できます。むしろ下落時は投資のチャンスといえるでしょう。ただし、ハイリスク・ハイリターンの投資対象であることは認識を。リターンが高いほどリスクも高い、というのは投資の鉄則で、インド株はそれが顕著です。

 上で紹介した投信信託は安定的に好成績をあげているものの、あくまで“インド株型の中では”です。インドに限らず、新興国株は基本として値動きが激しいのが事実。ちなみにインド株型の最大下落率の平均は-35.1%、日本株全般に投資する投資信託の平均は-15.2%です。

 買う際は、資産形成のメインではなく“上乗せ”の位置づけで。先進国株型のインデックス投資信託などで“土台”を固めておくのが大前提です。そのうえで、もし大きな下落に見舞われても耐えられる投資額にとどめましょう。また、積立投資で時間分散を図ることをオススメします。新NISAの成長投資枠でも、積立投資は可能です。

 さらに、インド株でもタイプの違う投資信託を組み合わせるといいでしょう。たとえばインフラ関連と消費関連の組み合わせです。インフラ関連は好成績ですが、政策が変わった時などには大幅下落の可能性があります。対して消費関連は、直近の成績で一歩譲るものの長期では優秀で、インドの人口増や所得向上に伴う、手堅い成長が期待できます。

 なお、インド株型のインデックス投資信託は、新NISAのつみたて投資枠で買うことはできません。つみたて投資枠で買えるのは、アクティブ投資信託の「iTrustインド株式」1本だけです。他はインデックス投資信託を含めてすべて、成長投資枠のみで対象となっています。

*最大下落率は、過去5年間のうちどこかの時点で1年間保有した場合の数値(月次ベース、2024年9月末時点)。

※本稿は、ダイヤモンド・ザイ編集部編『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った 新NISAで買うべき株&投信77 2025年度版』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。