繊細さんなら知っておきたい「職場を生き抜くコツ」ベスト4とは?
それを語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
![【職場の雑談についていけない】繊細さんなら知っておきたい「職場を生き抜くコツ」ベスト4](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/2/2/800/img_22fc941c8ed393ab321a5979dbe8f055559605.jpg)
繊細さんが知っておくべき「職場サバイバルガイド」
「また今日も疲れ切って帰ってきた...」
月曜の朝、オフィスや学校の教室に入った瞬間から感じる緊張感。雑談の声、プリンターの音、蛍光灯のちらつき。
「周りはみんな普通に仕事してるのに、なんで私だけこんなに疲れちゃうんだろう」
そんな不安を感じることはありませんか?
実は、あなたのそんな悩みもあなたが持つ特別な才能の裏返しかもしれません。
このガイドでは、HSP(Highly Sensitive Person)や内気と言われるような方々が持つ「繊細さ」を乗りこなし、職場での強みに変えるための方法について共有したいと思います。
人間関係を楽にするポイント①
「無理に明るい人にならない」
新社会人になると、「もっと社交的にならなきゃ」「職場に馴染まなきゃ」と思うことがあるかもしれません。
でも、それは本当に必要なことでしょうか?
自分のキャラを無理をして取り繕うとすると、息切れしてしまって長く働くことに苦痛を感じるようになってしまいます。
繊細な人ほど、関係を作っていくのには時間がいるという意識が必要です。
その代わり、じっくりと関係を築いていくことでより深く関係を築くことが得意だったりします。
大勢と広く浅く付き合うよりも、気の合う人と少しずつ距離を縮める方が、ずっと自然に感じられるはずです。
そのため、すぐに実践できる取り組みは意外とシンプルで、無理に声のトーンを上げたり、明るくする必要はありません。
ありのままのあなたを受け入れてもらえるよう、まずは気の合う同僚と二人でランチに行ってみるのはどうでしょうか。
そして、余裕が出てきたら、信頼できる上司にあなたの特性について話してみるのも選択肢のひとつです。
じっさいにお話ししてみると、「そんなこと、とっくに知ってるよ」と受け入れてもらえることもあるので、まずは無理をしないように意識してみてください。
人間関係を楽にするポイント②
「コミュニケーションは言葉だけじゃない」
「職場の雑談についていけない…」という悩みは、実はとても一般的です。
繊細さを活かして、あなたならではの「傾聴力」を活かした独自のコミュニケーション方法を見つけていきましょう。
心がけたいのは、重要な会議やミーティングの前後に少しの余裕を持てるように「待つ」を意識することです。
これは「バッファリング」と言われるテクニックで、会議や授業など、緊張しそうなイベントの前後30分ほどの時間を確保することで、心の準備や振り返りの時間が生まれ、ストレスを大幅に軽減できるという手法です。
元々は、コンピュータの世界で使われる用語だったのですが、データの転送や処理において、一時的に情報を蓄える「バッファ」という領域を活用することで、スムーズな通信や再生を実現する仕組みのことです。
人間にもこの「バッファ」という技術が有効なのではないか、という有益性が注目されていて、繊細すぎるひとほど、意識してみると生活しやすくなると思いますよ。
エネルギー管理のためのポイント①
「自分のリズムを知る」
繊細な人は感受性が強いぶん、ストレスをため込んで疲れやすくなってしまいます。
そんな1日を乗り越えるための、エネルギーを枯らさないポイントについて共有しましょう。
繊細過ぎる人にとって、エネルギー管理は日々の大切な課題です。
日記をつけるように、その日の活動とエネルギーの変化を記録してみるといいでしょう。
HSPや内向型の人にとって、エネルギー管理は最重要課題です。
以下のような表を作成して、日々の活動とエネルギーレベルを記録してみましょう。
● 大人数の会議:-3
● 電話対応:-2
● デスクワーク:-1
エネルギーを回復する活動(例)
● 一人でのランチ:+2
● 5分の深呼吸:+1
● 静かな作業時間:+2
こんなふうに、機械的に自分をコントロールしたほうが落ち着くということもあるのです。
エネルギー管理のためのポイント②
「小さな休息(マイクロブレイク)を積み重ねる」
忙しい一日の中でも、短い休息を上手に取り入れることができます。
トイレ休憩のついでに深呼吸をしたり、給水時に窓際で少し景色を眺めたり、プリンターでの印刷中に目を休める。
こうした「マイクロブレイク」の積み重ねが、驚くほど心を軽くすることが近年の研究で明らかになっています。(註1)
大切なのは、そんなマイクロブレイクを意識的に取っていくこと。
「いま、休んでいるんだ」と自分に語りかけることで、効果を上昇させることになるでしょう。
あなたの感受性は、決して弱さではありません。
それは、周りが気づかない細やかな変化を察知できる特別なレーダーのようなもの。
このガイドで紹介した方法を、あなたなりにアレンジしながら、自分らしい働き方を見つけていってください。
明日からの職場が、少しでも居心地の良い場所になりますように。あなたらしい働き方が見つかることを願っています。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
註1:Jefferson, D. P., Andiola, L. M., & Hurley, P. J. (2024). Surviving busy season: Using the job demands-resources model to investigate coping mechanisms. Contemporary Accounting Research, 1-30. https://doi.org/10.1111/1911-3846.12999
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。