「濡れ手に粟」と疑惑の目を向けられた取引が米国市場から姿を消しそうだ。それは、証券取引所に入った注文を限られた業者にだけ0.03秒ほど他の業者より早くオープンにするフラッシュオーダーだ。この仕組みを使って、最速0.004秒の超スピードで取引する「ハイ・フリークエンシー・トレード」(HFT)で儲ける株取引が米国で問題視された。

 なぜ、問題視されるのか。

 もともと、フラッシュオーダーは早く注文をみた業者が注文に対して素早く対応することで注文を成立しやすくし、証券取引所の流動性を高めるために導入された。ナスダックを始め米国のいくつかの証券取引所で採用され、取引所がフラッシュオーダーに対応している証券会社に手数料を支払っている。

  フラッシュオーダーを導入している取引所はナスダック、シカゴオプション取引所、新興取引所大手のバッツとダイレクトエッジである。たとえば、ナスダックでは、5社がフラッシュオーダーに応じており、フラッシュオーダーで注文を成立させた証券会社には一株当たり0.25セントの手数料がナスダックから支払われる。

 このフラッシュオーダーに対応していることを認めているのはニューヨークに拠点を置くライム・ブローカリッジ、シカゴが本拠地のゲトコ、同じくシカゴが本社のシタデル、そしてゴールドマン・サックスの4社だ。

 この仕組み自体になんら問題はない。ここに、コンピューターを活用した取引が発達し、HFTといわれる超高速取引が可能になったことで問題視される事態が起きるにいたった。

 そのからくりは次のようなものだ。