電気自動車(EV)などのエコカーを購入する際の補助金が4月から最大5万円増えます。ガソリンが高騰する中で、実用的でコストが低い「軽EV」が再注目されています。パイオニアは三菱自動車の「i-MiEV」ですが、こちらは売れませんでした。一方、日産自動車と三菱自がタッグを組んだ「サクラ」「eKクロスEV」は大ヒット。その違いは何だったのでしょうか。(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)
三菱自i-MiEVは売れなかったが
日産サクラ&三菱自eKクロスEVはヒット
2020年に発売された日産自動車の「サクラ」と三菱自動車「eKクロスEV」が、24年9月に累計生産台数10万台を突破しました。今や、「日本で最も売れている軽の電気自動車」です。
サクラとeKクロスEVは、日産と三菱自の合弁会社が開発したクルマで、軽自動車+バッテリーEVという脱炭素時代の理想的なモビリティであることが評価されています。両モデルとも生産は三菱自の水島製作所(岡山県倉敷市)。三菱自が世界初の量産EV「i-MiEV」で培った軽EVの生産技術で、品質とコスト競争力を高めているといえるでしょう。
ここで、「ちょっと待って」と驚いた人もいるかもしれません。「世界初の量産EVって三菱自動車なの?」と。それもそのはず、i-MiEVは09年7月に発売されて以降、累計販売台数は約2万3700台で、21年3月末に生産を終了しました。残念なことに、“全く売れなかった”のです。
2020年代では軽EVは大ヒットしているのにも関わらず、i-MiEVはなぜ不人気だったのでしょうか?