タクシードライバーといえば、「運転のプロ」という印象が強いですが、たまにとんでもなく運転が下手なドライバーに当たることがあります。なぜそんなことが起こるのでしょうか? 答えは、タクシードライバーを養成する免許と、タクシー業界を守る規制にありそうです。(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)
運転が下手なタクシードライバーは
なぜ存在するのか
客を乗せてタクシーを運転する(つまり料金を取って乗せる)ためには、「第二種免許」という運転免許が必要です。2002年6月以降は、自動車教習所で教習を受けて技能試験に合格し、運転免許試験場で筆記試験に受かれば、第二種免許が交付される制度に変わりました。
さらに近年まで、21歳以上で運転経験が3年以上なければ第二種免許の受検資格がなかったのですが、22年5月以降は「受験資格特例教習」を受講すると、19歳以上で運転経験が1年以上あれば受験資格を得られるようになりました。
ちなみについこの前まで、第二種免許の筆記試験には地理試験がありました。地図で示された主要幹線道路の名前を答えるものですが、東京、大阪、神奈川では24年初頭にこの地理試験がなくなりました。確かに、今の時代はカーナビがあるので、特に問題なさそうです。中には、「プロなんだからカーナビなんかに頼るな」と言い放つ嫌な客もいるらしいですが、実に意味不明な主張だと思います。