「物があふれる」時代の消費
推しや界隈での話題がきっかけに

 消費に関連した意識ではどうでしょうか。

「恋愛離れ」だけでなく、これまで「若者の○○離れ」として語られてきた商品やサービスは数多くあります。

 いきおい、若者の消費離れなのか…?とも思ってしまいますが、「若者調査」のデータを見ると「多少値段が張ってもちょっといいものが欲しい」とか「値段が高くても気に入れば買ってしまう」というような、購買行動の背景にある価値観や欲求は30年前と比較しても微減程度で、あまり変化していません。

 一方で、「家には物があふれている」とか「どうしても欲しいものが思い当たらない」という意見が増加しています。

 30年前と比べても すでに若者の身の回りはさまざまなアイテムで埋め尽くされており、これ欲しいな、という欲求自体が生まれにくくなっていることがうかがえます。

 そんな状況なので、自分が「推し」ている人物にお勧めされていたり、SNS上の自分と同じ興味関心を持つ人たち、いわゆる「界隈」の中で話題になっていたりすることが、若者にとって消費の重要なきっかけになっている――といった傾向が2020年代前半には見て取れました。