「Z世代」は、2020年代前半に広く知られるようになった言葉です。彼らの価値観、特に消費行動の傾向を分析するとともに、これから注目しておきたいZ世代の「消費のキーワード」について見ていきましょう。(博報堂生活総合研究所 主席研究員 酒井崇匡)
「Z世代」というワードが急速に普及した
2020年代前半
「Z世代」という言葉が日本で広く使われるようになったのは、2020年以降のことです。
Z世代の定義は厳密でないものの、おおむね1990年代半ばから2010年代はじめ頃に生まれた2025年時点で15~30歳くらいの人たちなので、同じZ世代といってもかなりの幅があります。
また、Z世代の次はα(アルファ)世代といわれていますが、この人たちはまだ中学生以下の年代です。20歳前後になるとさまざまなカテゴリのマーケティング上のターゲットとしても、あるいは社会を担う人材としても脚光を浴び始めますが、α世代がそうなるにはまだ5年ほどかかりそうです。
そういった意味では、日本において2020年代前半の「若者」といえば、それはつまりZ世代のことでした。これは2025以降もしばらく変わりません。
今回はそんなZ世代の特徴と消費の傾向について見ていくとともに、2020年代後半の同世代における「消費のキーワード」を探ってみたいと思います。
若者の「恋愛離れ」が加速しているって本当?
性的な話題への態度も保守的に
最近の若者について語るとき、「恋愛離れしている」という言説は2010年前後からよく聞かれるようになりましたが、2020年代に入ってその傾向はさらに加速したようです。
博報堂生活総合研究所(以下、生活総研)が実施している長期時系列調査「生活定点」では、1998年段階で「いくつになっても恋愛をしていたい」と答えた人は20代で64.1%いたのですが、2024年には22.1%と大きく減少しています。