![図表:学卒年で分けた世代別地域差](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/5/7/450/img_578a206ef72ad19960768d81f91c037a219947.jpg)
図5-2(a)の就業率や同じく(b)の正規雇用率については、東海地方がその他の地域の平均よりやや高く、近畿地方は低く、首都圏の高卒は低いが大卒はあまり変わらない、といった固定的な地域差はある。しかし、世代間の変化を見ると、多少の増減はあるものの、はっきりした傾向は読み取れない。
東海地方の若年男性の就業率や正規雇用率が高いのは、製造業の工場が多く、高卒ブルーカラーの雇用機会がその他の地域より多いためだろう。首都圏や近畿の高卒の正規雇用比率がその他の地域に比べて特に低いのは、大学進学率が高く高卒で就職する割合自体が小さいことや、非正規の雇用機会が多いことを反映していると考えられる。いずれも就職氷河期をきっかけに変化したようには見えない。
地域による年収格差は
氷河期後期世代で拡大傾向
一方、図5-2(c)の平均年収については、都市部とその他の地域を比べると都市部のほうが高い。このこと自体は物価水準の差などを反映したもので、高卒は東海地方が、大卒は首都圏が特に年収が高いという傾向は固定的である。
しかし就業率と異なり、首都圏や東海地方とその他の地域との年収格差は、バブル世代よりも就職氷河期世代、中でも氷河期後期世代で拡大する傾向が読み取れる。(d)のフルタイム雇用者の年収では、(c)の無収入を含む平均年収よりもさらにはっきりと、都市部とその他の地域の年収格差が拡大する傾向が見られる。