第一線を退くバブル世代と後を継ぐ氷河期世代の「宿命の対立」は終わるのか?写真はイメージです Photo:PIXTA

「ウェルビーイング」は、1948年の世界保険機関(WHO)設立の際に考案された憲章で、初めて使われた言葉だ。「幸福で肉体的、精神的、社会的全てにおいて満たされた状態」をいう。新しい幸せの形として用いられ、最近さまざまな場面で耳にすることが多くなった。『ウェルビーイングの新潮流』第14回では、「バブル世代」と「就職氷河期世代」の違いと、これから起こる世代交代について考察する。

好景気に沸いたバブル時代
就職は売り手市場

 2025年は、1965年〜1969年頃に生まれた「バブル世代」が、いよいよ60歳になり定年を迎え始めます。

「新人類」とも呼ばれる私たちバブル世代が、4年制大学を卒業して就職したのは1987年~1992年頃で、1986年~1991年のバブル景気の頃とほぼ重なります。幼少期も高度経済成長期と重なっていて、日本の景気が良かった時代をかろうじて体感して育った世代です。

 また、現役バリバリの時代には転職がまだ一般的ではなく、終身雇用制度のもと最初に就職した企業で定年を迎える割合が多い、最後の世代だといえます。

 これから多くの組織や企業で、この世代は60歳を迎え、厳しい組織内出世レースを勝ち抜いた一握りの役員としてマネジメントサイドに入るか、定年再雇用で同じ企業で働き続けるか、あるいは新卒から勤め上げた会社を卒業して新しい人生にチャレンジするか、といった選択を迫られるタイミングを迎えます。

 好景気に沸いたバブル時代の高度経済成長期の影響を受け、企業は事業を拡大・展開しようと積極的に採用活動を進める時代でもありました。その結果、有効求人倍率が1.4倍を超えることもあり、バブル世代の就職は売り手市場でした。

 有名大学の学生に対しては、就活時に豪華な食事での接待や海外旅行のプレゼントなどを提供していた企業さえありました。多くの企業が、個人の能力を厳しく評価することより、大学や学部で学生を判断して大量に人材を採用していたのがこの時代です。