不況の影響は地域ごとに違う?日本で最も不況の煽りを受けた地域とはPhoto:PIXTA

1990年代のバブル崩壊後に起きたバブル崩壊後の未曾有の就職難は、深刻な社会問題を引き起こした。その世代は「就職氷河期世代」と呼ばれるが、地域による影響差があるという。日本で最も不況の煽りを受けていた地域とは。※本稿は、近藤絢子『就職氷河期世代 データで読み解く所得・家族形成・格差』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

首都圏、東海、近畿で比較
失業率レベルの地域格差とは

 まず、就職氷河期を招いた不況そのもののインパクトが、地域によってどの程度違っていたのかを見てみよう。

図表:地域別完全失業率の推移同書より転載

 図5-1は、地域別の失業率を、比較的人口が多い首都圏、東海、近畿の3地域と、それ以外の地域の平均値に分けてグラフにしたものだ。どの地域も、1987年から91年ごろにかけてのバブル景気のころは失業率が下がり、バブルがはじけた92年ごろから失業率が上昇して2000年代初頭にピークを迎えて、2000年代後半にいったん下がった後リーマンショックで再度上昇する、という大まかな動きは同じである。だが、変化の大きさや、そもそもの失業率のレベルには地域によってかなりの違いがあるのがわかる。

 中でも、日本第2と第3の都市圏である近畿地方と東海地方は対照的だ。87年以前から、東海地方は他の地域より失業率が低く、近畿地方とは1%ポイントほどの差があった。その後、バブル崩壊後の失業率の伸びも東海地方は他の地域に比べると緩やかだった一方、近畿地方は特に1999年以降の上昇が大きく、2000年代初頭のピークの時点では2%ポイント以上の開きがあった。ピークを越えた後も、近畿地方は他の地域に比べても失業率が高いまま推移しており、バブル崩壊後の不況の影響がより深刻だったと言ってよい。