千趣会社長 行待裕弘
撮影: 住友一俊

通信販売は通常の買い物と違って、交通費がかからない。出かけているとついしてしまう衝動買いも、家で買い物をするからしなくてすむし、時間もかからない。

 そういう意味で、今のような不況期に適した合理的な買い物方法だ。しかし、この通販の優位性がしっかりアピールできていない。これは課題としてとらえている。

 今後はカタログ通販を中心にインターネット通販にも力を入れる。前期、ネットで決済された売上高は全体の50%強。そのうち、カタログを使わずにネット閲覧のみでの額が、カタログを併用しネットで決済された額を上回った。

 そのうえ、今年の新社会人は小学校からネットに触れてきた人たち。ネットでの買い物に抵抗感がない。この層がどういう消費行動を取るか、注視していかなければならない。

 通販だけでなく、実際の店舗も出店していく。カタログ「暮らす服」の店舗は、現在6店舗。通販だから実際に商品に触れられないという声に対応するためには最低でも30店舗は必要だ。店頭で納得していただければ、当社の商品に対する信頼が生まれ、新たなお客様となってくれるだろう。商品のマーケティングにも活用したい。

 前期(2008年12月期)は為替差損とデリバティブ取引の評価損で最終赤字となった。現在はすでに為替予約方法を見直し、一部のデリバティブ取引は解約した。今期計画の売上高1652億円(前期比2.7%増)、経常利益34億円(同37.5%増)はなんとしても達成したい。

(聞き手:『週刊ダイヤモンド』編集部 片田江康男)