「iPhone(アイフォーン)」は年を経るごとに大幅に改良されてきた。しかし、それが必ずしも米アップルを支えるとは限らない。
アップルが1月30日午後に発表した2024年10-12月期(第1四半期)決算では、iPhoneの売上高が前年同期から約1%減少し、691億ドル(約10兆7000億円)となった。市場は1.4%増という低い伸びを予想していたが、それにも届かなかった。前年同期は6%増だっただけに、主力製品であるiPhoneの伸び悩みが浮き彫りになった。
アップルはiPhoneの新製品を9月下旬に発売することを踏まえると、10-12月期は通常、iPhoneの年間の売り上げの3分の1強を占める。今回の決算は、アップルの人工知能(AI)ツールを初めて搭載したiPhoneの新型「16」シリーズが消費者から幅広い支持を得ていないことを改めて裏付ける結果となった。少なくとも、「スーパーサイクル」を引き起こすほどの熱気を生み出していない。そうした飛躍的な需要拡大が起きる頻度は近年少なくなっている。iPhoneの年間売上高の伸び率が2桁に達したのは、iPhone「12」シリーズがけん引した2021年7-9月期が最後だった。
3年前のスマートフォンを使用するユーザー層が厚いことは、力強い買い替えサイクルを生みだす土台になると思われていた時代もあった。ところが最近は1000ドルをはるかに超える価格帯のiPhoneモデルが増えており、アップルの顧客がスマホをできるだけ長く使い続けようとする強い動機になっている。モフェットネイサンソンのアナリスト、クレイグ・モフェット氏によると、米国のiPhoneユーザーが同じスマホを使い続ける期間は現在では平均で4年を超えている。10年前は2年だった。