生成AI 大進化#5Photo:Michael M. Santiago/gettyimages

スマートフォンやパソコンへの生成AIの搭載が進んでいる。端末上で動かせるAIは、利用者との距離を縮め、AIが人間の“相棒”になる世界に近づく。米アップルも「AIスマホ」のアピールを始めたが、競合と比べて出遅れが目立つ。特集『生成AI 大進化』の#5では、AI搭載端末の主要プレイヤーの狙いを探る。

アップルもiPhoneに独自生成AI搭載
日本語対応は「25年」と体験はまだ先

 ついに米アップルが「AIスマホ」を前面に押し出し始めた。

 9月9日、オンラインで開催されたアップルの新製品発表会。ティム・クックCEO(最高経営責任者は)は、「新しいiPhoneは、『アップルインテリジェンス』の能力を引き出すためにゼロから設計した」と力説し、20日に発売するスマートフォンの最新機種「iPhone 16」に、独自の生成AIを搭載すると発表した。

「アップルインテリジェンスはコミュニケーションや仕事など、あらゆる体験を進化させるだろう」とクック氏は強調したものの、明かされたAIの機能を見ていくと、アップルの出遅れが目立つ。

 例えば文章の校正やメールの要約、録音の文字起こし機能は、さほどの目新しさは感じられない。写真の背景から邪魔なものを消去する機能は、米グーグルが「消しゴムマジック」とうたい、2021年に発売したスマホ「Pixel 6」への搭載から宣伝しまくってきたものとほぼ同じだ。

 新機能として興味を引きそうなものは、オリジナル絵文字を生成できることくらいだろう。

 何より深刻なのは、実際に使うことができるAIの搭載時期だ。

 実はiPhone 16の発売直後はアップルインテリジェンスを使えない。米国の英語版は10月から利用できるとしているものの、機能は一部に限られる。さらに、米国以外の英国やカナダなど英語圏5カ国の対応は12月からで、日本語対応は「25年」としており、詳細な時期は明かされていない。