受話器を持ったビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

人手不足で人材を募集するも、なかなか採用につながらず苦戦するベンチャー企業の人事担当者。それを知った広報担当者がSNSを使って派手に募集告知をしたところ、「闇バイトの募集ではないか?」とクレームに発展する騒ぎになってしまった。ネット上で求人する場合、企業が「必ず記載しなければならない6つの情報」とは?

<登場人物>
張本(27歳):ベンチャー企業M社で広報全般を担当している男性社員
杉田(38歳):M社で人事部のマネージャーを担当する女性社員

応募が少ない、採用募集への新たな一手

 ある日の午後、張本が社内のラウンジへ足を運ぶと、杉田がドリンクカップを手に座り、ため息をついていた。

張本「杉田さん、お疲れさまです。どうしたんですか?大きなため息なんかついて」

杉田「あぁ、張本君。ちょっと採用のことでね。募集をかけても、反応があまりなくて……なかなか採用につながらないから困っているのよ」

張本「今はどこも人手不足ですからねぇ。給与を高額にするとか、何かパッと目立つことでもしないとダメなんじゃないですか?」

杉田「そうは言っても……求人サイトに広告を出すのも、それなりのコストはかかっているのよ」

張本「じゃぁ、SNSを活用するのはどうですか。今までうちの会社ではやってないですよね。SNSは拡散力もありますし、一度試してみたらどうでしょう?」

杉田「そうね。試してみてもいいかもしれないわね」

張本「僕に任せてください!普段からSNSで広報活動をしていますから、バッチリ募集をかけてみますよ」

SNSで求人募集をしたら「闇バイトではないか?」と話題に……

 張本がX(Twitter)に投稿した派手な求人募集は、大いに話題になった。しかし「バズった」というよりは「炎上した」のほうが実情に近い。「本当に企業の求人なのか」「闇バイトではないか?」などと憶測を呼び、M社はクレームを受ける事態に発展してしまった。

 数日後、杉田は張本を呼び出して問いただした。

杉田「張本君、いったいどういうこと!?」

張本「すみません。求人募集用に新たなアカウントを立ち上げたのですが、目立とうとして盛りすぎたかもしれません……」

杉田「なぜ投稿する前に報告してくれなかったの?募集内容が全然反映されていないじゃない」

張本「本当にすみません。みんなを驚かせたかったんです。もしかしたらバズってたくさんの応募があるかもしれないと思って……」

杉田「こんなんじゃ、うちの評判はガタ落ちよ!」

 張本は何度も頭を下げて詫びたが、時間を巻き戻すことはできない。杉田は少しでも事態を打開しようと、社労士のカタリーナに相談することにした。カタリーナは、歯に衣着せぬ物言いで相談者に愛のムチを入れる、ちょっと風変わりな社労士だ。