「もう48連勤ですよ!?」「休日手当は払ってる」社員vs会社…アウト、セーフどっち?「手当より、日曜休みをください。じゃないと身体が持ちません」。1カ月半以上休みなしのベテラン社員2人の言い分と手当ては払っているという会社の言い分、どちらがアウトなのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

退職が続いて人手不足になってしまった部署で、ベテラン社員2人と課長がその穴を埋めるべく休日返上で連勤して働くことに。「土日も休めず、働きづめだ」と文句を言うベテランに対し「求人しても応募がないのだから仕方ない。休日手当を払ってるんだから頑張れ」と会社は言うのだが……。(社会保険労務士 木村政美)

<甲社概要>
地方都市で機械製造と卸売業を営み、従業員数200名。管理課にはC課長の他10名のメンバーがいる。
<登場人物>
A:管理課勤務の30歳。
B:Aの同僚で、専門学校時代からの友人でもある。管理課勤務。
C:管理課長。AとBの上司
D:総務部長。人事、給与計算に関する権限を持つ
E:甲社の顧問社労士

退職者が続いて、
他のメンバーへしわ寄せが……

 AとBは地元の専門学校を卒業後、新卒採用で甲社に就職、機械オペレーターとして管理課に配属された。勤務時間は8時から19時の間で2交代制(労働時間8時間・休憩時間1時間)、変形労働制は運用しておらず、休日は日曜(甲社の法定休日)と他1日(法定外休日)の完全週休2日制だ。管理課の業務は製造機械のオペレーションの他、新商品の企画や商品管理も担当するなど多忙だが、残業や休日出勤はなく、有休も全部消化できるのでその点は働きやすい環境だった。

 ところが今年1月末、新商品の企画や商品管理を主に担当していた30歳代の主任2名が急に自己都合で退職した。C課長は現メンバーの中で在籍期間が最も長いAとBを主任に格上げし、退職した2人の業務を引き継がせた。そしてAとBがこれまで担当していたオペレーション業務をメンバー全員でカバーするために毎日2時間の残業をするようになった。

 2月上旬、D部長は中途採用の求人を出したが、応募者はゼロ。4月に新卒を6名採用したが、全員製造部門や技術部門に配属された。人員補充の目処(めど)が立たない状況の中、AとBを更に悲劇が襲った。新メンバーの加入がないことが分かった時点で仕事に嫌気が差した若手メンバー1名が、4月中旬で退職してしまったのだ。残った7人のメンバーで仕事を回す必要が生じ、困ったC課長はAとBのオペレーター業務を増やした。その結果2人は、出勤日はオペレーターとして働き、日曜や他の休日も商品管理データや商品企画書などの作成をするために会社で仕事をするハメに。2月から毎日残業している上に休みも取れなくなったAとBは、すっかり疲れ果ててしまった。