ビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

普段から残業の多い職場でシステムエンジニアとして働く部下が、突然「もう残業はやらない」と反抗的な態度に。プライベートを優先したいと残業を拒む部下と相談者が言い合いに発展。困って相談した相手は、歯に衣着せぬ物言いで相談者に愛のムチを入れる、ちょっと風変わりな社労士のカタリーナ。相談者に対してカタリーナがしたアドバイスとは……。

<登場人物>
桃田(25歳):メーカー系SIer企業に勤務するシステムエンジニア
葛城(41歳):桃田の上司で課長

「プライベートを優先したいから残業しない」は通用する?

 17時半。桃田が終業のチャイムとともに、パソコンの電源を落とし、席を立とうとする姿を見て、上司の葛城が慌てて声をかけた。

葛城「桃田君、たしか昨日も定時に帰ったよね?何かあった?」

桃田「定時で帰るのに、許可は必要でしたか?」

葛城「そういうわけじゃないけど、仕事はまだあるでしょ?ほら、みんなも頑張っているし」

 まわりを見回すと、皆、デスクで黙々とパソコンに向かって仕事をしている。

桃田「今まで自主的に残業してきましたが、それが日常っておかしいと思うんです。今月もすでに40時間以上残業してるんですよ!?これからはプライベートを大事にしたいので、残業はやりません」

葛城「なんだって?そんな理由が通用すると思っているのか!」

桃田「お言葉ですが、残業を命じる根拠はあるんですか?」

葛城「納期が近いんだ。桃田君だけ甘やかすわけにはいかないからね。業務命令として残業してもらうよ」

桃田「残業はできません。今日はやっとの思いで取れたコンサートもあるので帰ります」

葛城「コンサートって……業務命令に背くなら、懲戒処分だぞ!」

 桃田は聞く耳を持たず、「失礼します」と言い残してその場を後にした。部下に強気な態度を取られ、怒りが収まらない葛城は、社労士のカタリーナに相談することにした。