腕組をしてふんぞり返るビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

大手車販売店で営業担当として働く相談者の職場に先月赴任してきた新支店長は、過剰なノルマを課し、挙句の果てに「自分は自腹を切って車を売った」と武勇伝を語り、「自爆営業」をほのめかす始末。困った部下は社労士のカタリーナに相談することにした。ノルマが達成できなければ、本当に自腹を切らなければならないのだろうか?相談者に対し、カタリーナのアドバイスは……。

<登場人物>
藤枝(29歳):大手自動車販売店に勤務する営業社員
荒井(48歳):新たに赴任してきた支店長
角野(32歳):藤田の先輩で、同じ職場に勤務する営業社員

凄腕の新支店長が鳴り物入りでやってきた

 物腰の柔らかい前支店長に代わって、経営立て直しのために新しい支店長が鳴り物入りで赴任してきた。新支店長の荒井は、行く先々で業績を回復し、凄腕として知られている人物である。ところが、荒井が先月赴任してきてからというもの、営業部員たちは過剰な営業ノルマを突き付けられ、職場の雰囲気がギスギスしている。

 ある日、藤枝が出社すると先輩の角野が話しかけてきた。

角野「毎日ノルマ、ノルマって言われて、本当にキツいよな。荒井支店長、若い頃は何度もトップセールスを記録して、伝説の営業マンとして知られていたらしいよ」

藤枝「そうなんですか。だから僕たちにも厳しいんですかね?ノルマの達成状況が毎日のように回覧されてプレッシャーもすごいし、もうメンタルがやられそうです……」

角野「おい、大丈夫か?荒井支店長の下で働いていた人たちが何人もうつ病で休職したり、辞めたりしたって話を聞いてさ、ヤバいと思っていたんだよ」

 そんなうわさ話をしているところに、荒井本人がやってきた。