ゴキブリは、常にさまざまな突然変異を生み出している。
ゴキブリは恐竜よりも古い時代から地球に存在したと言われている。
人類が殺虫剤を発明する以前から、いや、この地球に人類が出現する以前から、ゴキブリはさまざまな突然変異を生み出してきた。そして、殺虫剤などこの世に存在しない昔から、ゴキブリは一定の割合で殺虫剤が効かないという突然変異を生み出してきたのである。
恐竜のいない昔から現代まで
ゴキブリが生き延びられた要因
恐竜のいない昔に、将来、殺虫剤を生み出す天敵が出現するなど、誰が予想できただろう。長い、地球の歴史を考えれば、目的を持った変異などあまり意味を持たない。ランダムにさまざまな変異を生み出すことの方が大切なのだ。
こうして、ゴキブリは殺虫剤が効かないという突然変異を生み出し続けてきた。もちろん、殺虫剤のない昔に、「殺虫剤が効かない」という突然変異は何の意味もない。言ってみれば、そんな能力は遺伝子異常が生み出した障害でしかないのだ。
それでも、ゴキブリはさまざまな変異を生み出し続ける。こうして、恐竜のいない昔から、現代まで生き延びてきたのだ。
このように突然変異は、ランダムに、そしてさまざまな形で現れる。
そのため、短期的な「今」という時代で見れば、それは良い形で現れるとは限らない。むしろ、突然変異の多くは役に立たない。意味がないどころか、障害になることも多い。
それは事実である。
しかし、「何が起こるかわからない」という長い地球の歴史の中で、ランダムなコピーミスを起こす生物たちが時代の変化を乗り越えて生き残ってきた。

そして、私たち人類もそのコピーミスをする生物である。だから、一定の割合で、さまざまな突然変異が起こる。その変異の多くは一見すると役に立たないし、障害に見えることも多い。それでも人類は一定の割合で突然変異を生み出し続ける。私たちは、こうして、環境の変化を乗り越え、進化をしてきたからだ。
だからこそ遺伝子は一定の割合で変異を起こす。つまり、一定の割合で、進化のチャレンジを繰り返すのだ。
遺伝子疾患と呼ばれる人たちは、見方を変えれば、まさにその進化のチャレンジャーだと言えないだろうか。