金のなる木はないが、近い将来、電気自動車(EV)用電池に使われる鉱物がなる木は現れるかもしれない。中国が重要鉱物を支配することへの懸念から、西側諸国の科学者や企業は一段と斬新な方法で代替供給源の開発に乗り出している。そうした取り組みの一つが、自然界の特異な現象を生かそうとするものだ。「ハイパーアキュムレーター(重金属集積植物)」と呼ばれる植物は、土壌からニッケルや亜鉛といった鉱物を大量に吸収する。これらの植物を栽培し、焼却して金属を取り出すことで、米企業は国内で調達した鉱物を少しずつ確保し、そのうえ従来型の採掘に伴う費用や環境破壊を回避できるかもしれない。「この激しい競争下では、何としても代替手段を考えなければならない」。米エネルギー省傘下のエネルギー高等研究計画局(ARPA-E)の局長だったイブリン・ワン氏はそう指摘する。ARPA-Eは米国で農業によるニッケル回収を実現させる方法を見いだすため、1000万ドル(約15億4300万円)を拠出している。「これは技術の空白地帯であり、変革をもたらす可能性を秘めている」
新兵器は「金属のなる木」、中国の鉱物支配に対抗
電池やミサイルなどに必要な鉱物の新たな供給源を求め、重金属集積植物に注目
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