したがって、管理職になれば見識を深めることも必要です。
以前、研修講師を務めていた時に次のようなことがありました。
受講者の1人が、目標設定シートに記入した内容を私に見てほしいと持って来られました。確認してみると悪く言えば単に枠を埋めたというものでした。この目標設定に、受講者自身の意図があるのか質問しても明快な回答はなく、どうやら日頃上司から指摘されている事柄を書き込んだだけのような印象を受けました。
『「言葉にできる」は武器になる。』の著者である梅田悟司氏は、この本の中で「内なる言葉」で意見を育て、「外に向かう言葉」に変換せよと述べています。
言葉を他人に伝える前にまず自分の中にある思いを言語化する、そのために自分と向き合うことの重要性を説かれているのだと私は解釈しています。
何となく思っていることでもハッキリと言葉にして理解しているかと言えば、案外そうでもありません。自分の思いを書いてみる、話してみることでその思いに気づく、分かることがあります。
見識を深めるためにも、思いを育ててみましょう。
「5W1H」のイメージで
すぐに使える伝え方のコツ
言いたいことを言語化できても、思うように伝えられないと嘆く管理職は少なくありません。口下手で部下に、上司に、顧客に対して自分の言いたいことが伝わらなければ、業務に支障をきたします。コミュニケーションの“あるある事例”で確認してみましょう。
《伝えたいことが途中で分からなくなる》
情報が多すぎて混乱しています。結論をハッキリさせることが先決です。何が伝えたいことなのか、論点を3つ以内に整理することから始めましょう。
《言いたいことが途中で変わってしまう》
話の最中に新たなアイデアや関連事項が浮かび、頭の中で話が変わってしまうことがあります。
脳の思考は連想的ですから様々なアイデアが交差します。話す目的を見失わないよう事前に話の構成や順序を考え準備をして臨みましょう。
《一文が長い》
「~して」「~だが」「~けれど」などの接続助詞で文が続き、終わらない場合がありますが、話が切れないことで、聴き手は趣旨がつかみにくくなってしまいます。読点「、」よりも句点「。」を意識して文を短く切り言い切る習慣をつけることです。
《イメージが湧かない》
「情景が浮かばずピンと来ない」というケースもあります。