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「君、どう思う?」「アンタはどう思うんや?」。経営の神様と呼ばれた松下幸之助は、口癖のように社員に質問を投げかけたという。優れたビジネスマンとは常に問題意識を持ち、言語化能力が高い人物だ。「社員のモチベーション向上」をテーマに人材開発支援を行う著者が語る、優れた言語化のコツとは?※本稿は、岡野隆宏『管理職の手帳 BASIC100 部下に慕われ、上司に頼られる仕事のヒント』(あさ出版)の一部を抜粋・編集したものです。

管理職としては要注意?
言葉よりも伝わる非言語表現の力

 人は言葉でコミュニケーションしています。しかし、話すこと以外にもコミュニケーションの手段はあります。

「ノンバーバル・コミュニケーション」とは非言語、言葉によらないコミュニケーションという意味です。これは、コミュニケーションは「言語表現」と「非言語表現」によって成り立っているということで、しかも非言語のほうが言語によるコミュニケーションよりも影響力が強いと言われています。

 私が息子とコミュニケーションをとっていた際の出来事です。

 息子は自動車の運転免許を取得したばかりで、運転したくて仕方がない時期でした。ある日、次の日曜日、車を貸してほしいと頼まれたのですが、その日私は車を使用する予定でした。

 迷いましたが運転したい息子の気持ちを汲んで、渋々譲ることとし、うん、いいよと“眉間にしわを寄せて”返事をしました。すると息子は数秒後「いや、車は使わず、やっぱり電車で行く」と言い出しました。

 私は、「使えよ」とやはり“眉間にしわを寄せたまま”奨めましたが、結局、息子は使わないと言って部屋から出ていきました。

 これは正に非言語表現が、言語表現よりも強く伝わったコミュニケーションの場面と言えます。使ってよいという言語以上に、眉間にしわが寄った表情に息子は本音を読み取ったということです。

 これは家族や長年の友人など、関係の深い相手に対して出やすい傾向と言われます。

 のみならず、上司が部下に対して接する時などが典型例として挙げられています。管理職としては要注意です。こんなところから部下は上司の本質を見透かします。管理職として、言語以外などの要素に注意してコミュニケーションしましょう。

POINT:人との会話で記憶に強く残っているのは、相手の姿かたちや身振り手振り、それに表情、声音などばかりで肝心の話の内容はごくわずかだ。この事実を心得ているのがコミュニケーションの達人である。

日常的に言語化の習慣をつけて
問題を考えるクセを作ろう

 パナソニックの創業者松下幸之助の口グセに「君、どう思う?」、「アンタはどう思うんや?」があったそうです。

「どう思うんや」と問われて答えられる人は、日頃から問題意識を持ち何らかの考えを持っているから答えられるわけです。

 しかし、考えていなければ答えられません。まだ考えが定まっていない場合も、即答はできないでしょう。

 コミュニケーションをとる際、自分の考えや意見を求められることは多々あります。

 そこで自分なりの考えや思いがなければ話が成立しないこともあります。