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円滑に仕事をする上で職場での信頼関係構築は欠かせないが、その一方で多様な価値観や主張をする部下達に「こっちの悩みもわかってくれよ……」とぼやきたくなる管理職は多いだろう。指導が難しい時代だからこそ、部下とのコミュニケーションは管理職である自分自身も成長できるチャンスだ。部下に慕われ、“チーム力”を挙げる管理職になるためのポイントを解説する。※本稿は、岡野隆宏『管理職の手帳 BASIC100 部下に慕われ、上司に頼られる仕事のヒント』(あさ出版)の一部を抜粋・編集したものです。

管理職が部下を“えこひいき”せずに
公正に評価するためには?

 管理職は、教育者であると共に部下を評価する立場でもあります。

 評価のポイントには「具体的な目標設定」、「日常の指導・支援」、「評価に必要な情報収集」、「評価制度の正しい理解」、「評価後の結果フィードバック」などがあります。一方、評価される部下からは、「公正な評価」を求める声が最も大きいようです。

 評価における公正とは何か。それは特定の部下を“えこひいき”することなく、ルールに則って、対象者に対し同じように評価することと解釈されています。

 とはいえ、評価者である管理職にこのようなことが本当に可能でしょうか。

 評価に私情を挟まないことは常識です。個人的な付き合いを考慮した評価など、管理職としては問答無用でレッドカードものと言えます。しかし、感情ある人間が部下に対するすべての思いを横に置き、客観的な視点のみで評価に向き合えるでしょうか。

 誤解を恐れずに言えば、人間である限り、私は極めて困難であると考えています。

 では、どうすればよいのでしょうか。

 問題の本質は部下の求める「公正」とは、結果ではなくプロセスにあることです。

 部下にとって評価が「公正」と思えるとは、管理職が部下に正面から向き合い、部下1人ひとりの成長や停滞、場合によっては減点部分を把握しているという背景があって、はじめて上司の評価は正当と感じられるのです。

 肝心なのは上司への信頼であり、最重要点は「評価が低いのは部下が自分の言うことを聞かないから」と部下の責任にしないことです。

 評価面談を行う時、部下からの反発があるという話を耳にします。

 多くの場合、評価の低い部下にこの傾向はありますが、評価の低い部下と上司の関係を見ると、往々にして評価者と被評価者の関係が十分に構築されていません。

 公正か不公正かは、日頃の部下に対する上司の関わり方にあると理解するべきです。

POINT:適正に評価されていない。部下のこうした不満の核心にあるのは、評価システムや評価方法にあるのではなく、管理職が日常的に部下と接する態度に対する不信や物足りなさだ。コミュニケーションのレベルにこそ問題の本質があると認識する。

管理職が意識すべき
「Give&Given」の信頼関係

 部下が上司に対し期待していることは何か。よく次のような言葉を聞きます。

「やさしい兄、姉のような存在でいてほしい」、「(厳しさの度が過ぎない程度で)時に努力不足や怠慢行為には指摘してくれる人であってほしい」、「知識や技術を余すところなく教えてほしい」というものです。