【ワシントン】ドナルド・トランプ米大統領が就任後2週間で一連の移民政策を発表した背景には、どうしても譲れない目標がある。それは受け入れる外国人の数を減らし、米国にとって(同氏の見解に基づき)より有益な人材を入国させることだ。
トランプ氏の動きは「不法移民の取り締まり」という枠をはるかに超えている。それは主要な選挙公約の一つで、関心の高さでは群を抜いている。トランプ氏はそれと同時に移民の合法的な入国ルートも幅広く閉ざそうとしている。移民が米国社会に負担をかけているからとの理屈だ。
トランプ氏は2期目の最初の2週間に南部国境での難民申請システムを停止し、たとえ合法的な入国手続きで安全な場所を求めようとしても、移民にその機会を与えないことにした。米政府はすでに合法的入国のために選抜され、審査を受けていた数千人の難民の米国行き航空便をキャンセルした。その中にはアフガニスタンで米軍を支援し、再定住の機会を待っていた人々もいる。
トランプ氏は大統領令によって「出生地主義」――米国で生まれた新生児全員に市民権を与えるという合衆国憲法の核心的な原則――を廃止しようとしている。それは外国人の子どもが自動的に米国人とみなされるべきではないとの信念に基づく。さらに同氏が署名した他の複数の大統領令の指示で、トランプ政権はビザ(査証)を申請する移民に対し、厳格なイデオロギー審査を受けさせることを計画している。例えば、反イスラエル的な見解を持っていないか確かめるといったことだ。米移民・税関捜査局(ICE)はすでに米国にいるそのような移民を強制送還の対象とするよう指示されている。
だが、トランプ政権の仕事はまだ終わっていない。