アメリカは「キリスト教国」と主張
トランプ政権「MAGA」推進の“地上部隊”
1月20日にトランプ新政権が発足する。
注目されるのは、トランプ氏が選挙公約で掲げた関税引き上げなどの経済政策のほか、移民規制強化や親イスラエルの外交などがどのように展開されるかだが、トランプ氏のややもすると白人至上主義や排外主義的な公約や主張には、特有の宗教的、文化社会的な土壌を感じさせるものがある。
米国では新大統領が就任するセレモニーでは、大統領が聖書に手を置き宣誓する場面がクライマックスとなり、この場面は、米国社会に対するキリスト教の影響の大きさを象徴するものともいえる。
だがトランプ政権では、とりわけその一部の人たちの影響力が大きいと考えたほうがいい。
トランプ氏を中心とするMAGA(米国を再び偉大な国に)のムーブメントを押し上げている岩盤支持層の一角であるキリスト教福音派のコアな部分で、「キリスト教ナショナリスト」と呼ばれる人たちだ。
「キリスト教ナショナリズム」とは、アメリカはキリスト教国でなければならず、キリスト教が公的な場で他の宗教と比べて特別な地位を与えられるべきだとする考え方だ。
独立宣言や合衆国憲法の文面からみれば、アメリカがキリスト教国であるという主張には無理があるのだが、そのイデオロギーは、移民流入などで非白人、非キリスト教徒の割合が増えるなかでの白人層の“危機意識”もあって、人種差別や排外主義と容易に結びつく。環境政策に否定的なトランプ氏の主張にもそれは影響を及ぼしている。
キリスト教ナショナリズムはトランプ政策とは切っても切れない「裏」の顔があることに注意が必要だ。