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定番の力を再確認
今日は「定番ってやっぱり大事だよね」というお話をしたいと思います。私がこのことを考えたきっかけは、車の中で聞いていたラジオ番組です。ラジオでは、リスナーにテーマを投げかけてアンケートを取り、その結果をもとに話を広げることがよくあります。
そのときのテーマは「豚肉を使った料理の定番は何か」というものでした。候補として挙がっていたのは、とんかつ、生姜焼き、他にもいくつかの料理がありましたが、最終的に人気第1位に選ばれたのはやはり「とんかつ」でした。
豚肉と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、やはりとんかつですよね。この結果を聞いて改めて思ったのは、アンケートのように多くの人が関わる場面では、結局みんなが選ぶのは「定番」だということです。ど真ん中の定番こそが、多くの人に支持されるものなのです。
定番から始めることの重要性
何か新しいことを始めるとき、定番を「つまらない」と感じる人も少なくありません。「定番をやっても競争が激しいし、目立たないから、もっと違うことをやろう」と考える人も多いでしょう。しかし、これは大抵うまくいかないものです。なぜなら、定番を知らずに独自性を追求しても、そのズレが面白いのかどうか判断できないからです。
定番を知らないということは、その道の基本を押さえていないことになります。それはプロフェッショナルらしくない印象を周囲に与えてしまうのです。結果として、自分の存在感を高めるために変わったことをしても、逆に「なんか変なことをやっているな」と見られてしまうことが多いのです。
ですから、何かを始めるならまずは定番から取り組むことが大事です。もし定番に興味が湧かないのであれば、それはあなたが本当にやりたいことではない可能性が高いです。定番に魅力を感じないというのは、その分野に対する本当の情熱が欠けていることの表れかもしれません。
うまくいかなくなったときの原点回帰
定番をしっかり押さえてうまくいったとしても、物事が順調に進んでいるうちに少しずつ定番からズレてしまうことがあります。ビジネスでも仕事でも、成長する過程で考えなければならないことが増え、本来の目的や原点を忘れてしまうことがあるのです。最初は順調だったのに、最近うまくいかないと感じるとき、それは定番や原点から離れてしまっているサインかもしれません。
こういうときこそ、改めて原点に立ち返ることが大切です。最初に自分が何を目指していたのか、なぜそれを始めたのかを思い出すことで、再び軌道修正できることが多いのです。
これは人生全般にも言えることです。目の前のことに囚われて、本当に大事なことを見失ってしまうと、自分が何をしたいのかが周囲に伝わらなくなり、結果として支持されなくなってしまいます。
定番を大切にすることの意味
結局のところ、定番というのは多くの人に支持されてきた結果として存在しているものです。
それを無視して新しいことを追求するよりも、まずは定番をしっかり押さえ、その上で自分らしさを加えていくことが成功の近道だと思います。
もし何かを始めてみてうまくいかないと感じたら、ぜひ一度定番や原点に立ち返ってみてください。それが再び前に進むための大きなヒントになるはずです。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。