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継続するために「準備をしない」という考え方
何かを始めるとき、特に真面目な人や几帳面な人は、しっかりと準備をしようとするものです。
例えば、台本を書いたり、原稿を用意したり、それを何度も練習したり、ペース配分を考えたりと、完璧を目指してしまうことがあります。
もちろん、それは良いことです。しかし、準備にエネルギーを使いすぎると、本番で力を発揮できず、継続が難しくなります。
準備しすぎると続かない
人間の使えるエネルギーには限りがあります。準備に時間と労力をかけすぎると、肝心の本番で力が残っていなかったり、次回へのモチベーションが続かなかったりするのです。
一度限りのプロジェクトであれば、しっかり準備して臨むのも良いでしょう。しかし、長く続けたいことに関しては、過度な準備がむしろ継続を妨げる原因になってしまいます。
私自身、VoicyやYouTube、X(旧Twitter)、Instagramなどで発信を続けていますが、ほとんど準備に時間をかけていません。むしろ、「いかにお気楽に発信できるか」を常に考えています。タイトルを決めたら、それに沿って思いつくまま話すだけです。
YouTubeの動画も、1週間に1回、30分から1時間ほど録音し、前日に編集アプリで簡単にカットして字幕をつけるだけ。アップロードまでにかかる時間は20分程度です。
1回のクオリティより、発信量を増やす
準備を最小限にすることで、その分、発信量を増やすことができます。もし、毎回原稿を作り込んで、練習を重ねていたら、とても続けられません。
講演会ではスライドを作ることはありますが、あくまで進行のガイドとして使う程度で、細かい配分の練習などはしていません。それよりも、自然な流れで話せることを重視しています。
これは、ローンの返済にも似ています。一度にたくさん返そうとすると、翌月の支払いが苦しくなりますよね。エネルギーも同じで、準備に全力を注いでしまうと、その後が続かなくなります。継続が必要なことに関しては、計画的にエネルギーを配分することが大切です。
長期的に影響力を持つために
世の中では、完璧なものを一度作るよりも、コンスタントに発信し続ける人のほうが、最終的に影響力を持つことが多いです。どんなに素晴らしい作品も、一度きりでは埋もれてしまいます。それよりも、少しずつでも継続的に発信することで、認知され、価値を高めていくことができるのです。
「準備しない」という考え方は、一見すると手抜きのように思われるかもしれません。しかし、継続することが大事な場合、最適な戦略にもなり得ます。大切なのは、「準備にどれだけ時間をかけるか」ではなく、「どれだけ続けられるか」という視点を持つことです。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。