![拍手されるビジネスパーソン](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/a/7/650/img_a7b5926a7ec2e1bc178ff64df5141d0e436361.jpg)
体育会系からMBAホルダーへ……
日本企業の“旬な人材”の変遷
日本のビジネス界では、時代の要請に合わせて重用される人材像が大きく変化してきた。この時期、続々と発表される新社長のプロフィールにも、過去に求められていた人材像が色濃く表れている。
戦後復興期には、官僚や政治家との強いパイプが不可欠だったため、“官僚養成所”と呼ばれた東大法学部を出た人材が企業にとって魅力的であった。やがて高度成長期に入ると、大量生産・大量消費に対応するため、組織の結束力と体力を備えた体育会系の若者が重宝された。
むろん、現代では東大法学部も体育会系もかつてのような特別扱いを受けてはいない。まだ一部の会社ではこうした人材も重用されているが、いまだにそれらの経歴がものを言うようなビジネスをしている会社か、昭和の時代を生きているような会社ということになる。
1980年代後半のバブル期には、円高と海外進出の本格化に伴い、英語力や国際交渉の経験を持つ人材が脚光を浴びるようになる。中でも米国でMBAを取得した層は、欧米式の経営手法を用いて海外企業との取引を有利に進められるため、“ブランド”としての価値が上昇した。
しかし、バブル崩壊後はリストラや企業再建を急ぐ時代となり、投資銀行やコンサル出身の改革派が注目を浴びるようになる。昭和的な終身雇用や年功序列の制度へメスを入れた世代が、現在の経営者層にあたる。こうした経営者の多くは海外留学などの経験がある半面、今日のデジタル全盛に十分対応できているかどうかについては個人差がある。
なお、MBA取得者や海外留学経験者が、本当に英語ができ、交渉力があったかは大いに疑問の余地があるが、他のドメスティック社員との比較において、相対評価では外国関連のビジネス機会を得やすいという印象を与えたため、実力以上にずいぶん得をしたというのが実際のところであろう。