株式投資をする人たちの間で大きな支持を集める話題の1冊が『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』だ。60問のクイズを答えるだけで「投資のコツ」をつかめる手軽さが人気を博し、絶賛の声が尽きない。
本稿では、『株トレ』の著者であり、ファンドマネジャーとして2000億円超もの資金を運用してきた経歴を持つ楽天証券・窪田真之氏に、「株で勝てる人と負ける人の差」について教えてもらった。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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個別株で勝つためには?
──プロでもインデックスには勝てないと聞きますが、個人投資家でも個別株のトレードで勝てるようになりますか?
窪田真之(以下、窪田):個人投資家には「個人投資家の強み」があります。
例えば「投資期間を自分で決められること」や「素早く動けること」が個人投資家の強みです。
ファンドを運用するプロは、短期間で結果を求められます。
私がファンドマネジャーの頃に扱っていたファンドの場合、3ヵ月ごとに東証株価指数と比較したパフォーマンスを報告する必要があり、2年連続で結果を残せなければクビになるような世界でした。
預かった資金を効率的に運用する必要があるので、常に投資し続けなければなりません。
一方で個人投資家は誰かに結果を報告する必要はないので、じっくり時間をかけて投資をすることができます。
相場が悪い時や良い銘柄が見つからない時は、無理にトレードせずにチャンスを待ち続けるという選択をとることができます。
個人投資家には機動力がある
窪田:素早くトレードできるのも個人投資家の強みです。個人投資家はプロよりも機動力があります。
プロの場合は運用している金額が大きいので、トレードに制約があります。良い小型株を見つけたとしても、自身の売買で株価を動かしてはいけないので、一度のトレードでポジションをとることができません。
チャンスだと思っても買付に1ヵ月以上かかることもあります。いち早く損切りしたいと思っても、一度に売ることはできないので、株価が下がり続けるのを見ながら毎日損切りし続けて、1ヵ月たってやっと売り切ったということもあります。
個人投資家は、1回のトレードで必要な株数の売買を完了できるので、好きなタイミングでトレードできますよね。
だからこそ、チャートを観察して「ここだ」と思った瞬間に、ピンポイントでトレードできるのです。
個人投資家の強みをいかしてトレードすれば、いわゆるプロと呼ばれるような人にも勝つことはできると思います。
株のトレードに向いている人の意外な共通点
──株のトレードが「向いている人」「向いていない人」には、どのような違いがあると思いますか?
窪田:さまざまなファンドマネジャーを見てきた経験を踏まえると、下がったときに落ち込むような人はトレードに向いていません。
「お客様から預かった“命より大切なお金”を失ってはいけない」と思っているようなファンドマネジャーは、恐怖心で判断が遅れたり、間違った判断を下してしまいます。
反対に、勝てるファンドマネジャーは「ゲーム感覚」で相場に臨んでいる人です。いつもワクワクしながら相場を観察していて、株が下がっていても全く落ち込みません。
暴落していても、素早く損切りできれば「よし、うまくいった」と考えますし、みんなが悲観している状況でも次のチャンスを狙っています。
──トレードに慣れていない私たちが、恐怖心を克服して冷静にトレードできるようになる方法はありますか?
窪田:個人投資家の皆さんの中にも、下がった時に嫌になって相場から目を背けてしまったり、普段は絶対にやらないようなトレードをしてしまう人がいるかもしれません。お金を失うことに対する恐怖心が強い人は、株で勝つことはできません。
そういった人は、まずは少額からトレードを始めることをお勧めします。
誰にでも「この金額なら失っても怖くない、ためらわずに損切りできる」という金額があると思うので、その範囲でトレードの経験をたくさん積むのがよいでしょう。
また『株トレ』をぜひ活用してみてください。この本は、チャートを見て「買い・売り・様子見」を判断する60問のクイズを掲載しています。
実際の投資判断をシミュレーションする感覚で楽しめるように作りました。この本も気軽にゲーム感覚で取り組んでみてほしいと思います。