誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、33万部突破シリーズ『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)に続く『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになる!

考えることが悩みを生む
人はなぜ悩んだり、辛くなったり、苦しくなったりするのでしょうか。それは「考える」からです。もし考えなければ、悩むことも、不安に思うこともありません。
私たちの文化では「考えること」が良いこととされています。フランスの哲学者ブレーズ・パスカルも「人間は考える葦(あし)である」と言い、人が考えることの偉大さを言い表したましたし、「よく考えなさい」と教えられてきました。
確かに、問題解決のためには考えることが必要です。しかし、何の目的もなく漠然と考えることは、むしろ悪影響を及ぼします。漠然と考えすぎると、どんどん不安が大きくなり、結果的に不幸に繋がるのです。
「今」に集中することが幸せの鍵
では、幸せに生きるためにはどうすればよいのでしょうか。幸せに生きたいなら、「今日という一日を楽しむこと」に集中するのが大切です。何も考えずに、今の瞬間を味わうことができれば、それだけで幸福度は上がります。
例えば、ご飯を食べるときは「おいしいな」と感じること。次の食事が楽しみだと思うこと。天気が良ければ「気持ちがいいな」と感じること。眠くなったら素直に眠ること。そうしたシンプルな感覚に意識を向けることが、幸せへの近道です。
「今、この瞬間」を大切にするという考え方は、現代では「マインドフルネス(目の前のことに集中すること)」と呼ばれています。結局のところ、マインドフルネスが目指しているのは「考えずに生きること」なのではないでしょうか。だからこそ、マインドフルネスは幸福につながるといわれているのです。
考えすぎず、感じることを大切に
かつて、お釈迦様が外の世界に出たとき、病人や老人を見て「なぜ人間はこんなに苦しむのか?」と考え始めたといいます。そして、その考えの果てに悟りを開きました。
私は宗教学者ではないので詳しいことは分かりませんが、悟りとは「考えないで生きること」に近いのではないかと思います。人は、つい余計なことを考えがちですが、考えることを減らし、目の前の世界を感じることを大切にするだけで、今より少し幸せな気持ちになれるのではないでしょうか。
ぜひ、考えることよりも「感じること」を意識してみてください。そうすることで、幸せな状態に近づけるはずです。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。