控除額は「医療を受けた人ごと」で計算
間違えると大損するので要注意!
正解はBの20万円。
控除額の計算は「医療を受けた人」「医療費を支払った病院・薬局」ごとに計算する。これが、医療費控除を受けるにあたって最重要ポイントなのである。
Aは夫と妻の医療費を合計し、そこから補填される金額を引いている点が間違い。補填される金額が大きいため、控除額が残らない。
正解のBは、医療を受けた人ごとに計算しており、補填される金額は夫の医療費を上限とするため30万円。妻の医療費を別に足し合わせると、控除額は20万円となる。
例えば、年収800万円の人が医療費控除を20万円受けると、所得税・住民税は約6万円安くなる。Aのように医療費全て合計するミスをすると、節税額はゼロになるので大損だ。
下記は国税庁の「医療費控除の明細書」の抜粋である。
この表を頭に入れておくと、「医療を受けた人」「医療機関・薬局」ごとの表になっているのでミスせずに計算できるだろう。
出産手当金やがん診断給付金は
「補填される金額」ではない
大損しないための2つ目のルールは、出産手当金やがん診断給付金は「補てんされる金額に入れなくてもいいこと。
出産のために欠勤した場合に健康保険から給付される「出産手当金」も「補填される金額」に含めなくていい。出産手当金は、欠勤による収入減を補償する給付であり、出産時にかかった費用を補填するものではないからだ。
また、多くのがん保険には、がんに罹患(りかん)すると受け取れる「がん診断給付金」がある。給付金は、一時金で50万~100万円などまとまった金額を受け取れる保険商品が大半だ。
がん診断給付金は、「がんの確定診断がされたことにより支払われる」ものであり、入院や手術の医療費等の補填として給付されるものではないというのが国税庁の見解だ。しかし、残念なことにほとんど知られていない。
医療保険の入院給付金や手術給付金は「補填される金額」となるので、普通に考えるとがん診断給付金も同様と思うかもしれない。間違えてしまう人は多いだろう。