ドナルド・トランプ米大統領はマネーというものを分かっているのだろうか。現金としてのマネーではなく、資金の供給や金利で測られるマネーの価値、そしてそうしたものがインフレに及ぼす影響を理解しているのだろうか。インフレ率が3カ月連続で上昇したことを米労働省が報告したのと同じ12日に、トランプ氏が金利の引き下げを求めたところを見ると、答えはどうやら「ノー」のようだ。トランプ氏は自身のソーシャルメディアへの投稿で、「金利は引き下げられるべきだ。これは今後発動する関税と密接に関連するものだ」と述べた。こうした混乱した思考の積み重ねは、理解しがたい。特に、関税の引き上げは影響を受ける商品の価格上昇を意味するからだ。だが、トランプ氏はおそらく、物価上昇の責任が問われた際に、国民の目を別のところに向けさせたいのだろう。