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他人への怒りを沈める方法
日常生活の中で、他人に対してイライラしてしまうことは誰にでもあると思います。例えば、「なんであの人はあんなことをするのか」とか、「どうしてこんな簡単なこともできないのか」といった感情が湧き上がることがありますよね。
実はこうした怒りが生まれる背景には共通する要素があります。それは「他人に期待している」ということです。
怒りの根源は期待にある
他人に対して怒りを感じるとき、必ず「本当はこうしてほしい」「こうあるべきなのに」といった期待があるものです。その期待が裏切られることで、「なぜこうしないのか」「なぜわかってくれないのか」といった怒りが生まれてしまいます。
つまり、怒りというのは、自分が抱いていた期待と現実のギャップによって引き起こされるのです。
では、どうすればこの怒りを沈めることができるのでしょうか。その答えは、「期待しないこと」にあります。ただ、いきなり完全に期待をゼロにするのは難しいですよね。
そこで、まずは「自分が相手にどのような期待をしているのか」に気づくことが大切です。そして、その期待の内容を明確にした上で、少しずつその期待を手放していく、というプロセスが効果的です。
期待を手放す方法
では、具体的にどうやって期待を手放せばいいのでしょうか。例えば、子どもが悪い成績を取ってきたときにイライラしてしまうことがあるとします。このとき、怒りを感じるということは、「本当はもっと良い成績を取れるはずなのに」と期待しているからです。
その期待の背景には、「もっと努力できるはず」「もっと勉強するべき」という思いがあるかもしれません。
ここで大切なのは、その期待を完全に捨て去るのではなく、少し緩めてみることです。「この子は勉強が得意なタイプではないかもしれない」「でも、先月よりも少しだけ机に向かう時間が増えたのなら、それは成長だ」と考えてみるのです。こうした視点の変化が、怒りを和らげるポイントになります。
相手の成長に目を向ける
期待を完全になくすのは難しいですが、相手のこれまでの成長や変化に目を向けることで、怒りをコントロールしやすくなります。「昨日よりも少し前進しているかもしれない」と思うだけで、感情の持ち方が変わってきます。
また、相手に対して「どうしてこうできないの?」と責めるのではなく、「じゃあ、どうすれば少しでも前に進めるか?」と考えるのも有効です。例えば、「1日30分だけ一緒に勉強しよう」と提案してみるなど、相手のペースを尊重しながら現実的な目標を立てることも重要です。
怒りを手放すために
他人への怒りを感じたときは、まず「自分は何を期待していたのか?」を振り返ってみることが大切です。その期待がどこから生まれたのかを知り、少しずつ手放すことで、怒りの感情は自然と和らいでいきます。
期待をゼロにするのではなく、「少しでも良くなればいい」という柔軟な考え方を持つことで、イライラすることが減ってくるでしょう。
このように、自分の考え方を少し変えるだけで、他人に対する怒りの感情を軽減することができます。ぜひ、日常生活の中で試してみてください。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。