コミュニティサイトで顧客を囲い込み転職サイトへ導く

――坂上:さまざまな事業を行うにあたり、御社はどのような戦略を描いているのですか。

諸藤情報インフラを大きく「日常」と「非日常」に分け、これらを組み合わせていくことが基本的な戦略となっています。日常のサービスとは、月に一度は利用するもののことです。コミュニティサイトなどがそれにあたります。非日常のサービスとは、数年、もしくは一生に一度しか使わないもののことです。転職サービスなどがそうですね。

ユーザーが情報インフラに対してお金を支払ってもいいと考えるのは、非日常のサービスです。転職する、結婚する、車を購入する。今後の人生に影響が大きい、もしくは大きな金額が動くことに対しては、お金を払ってでも正しい情報を得たいと考えるため、情報インフラがビジネス化しやすい傾向にあります。ですから日常のサービスで顧客を囲い込み、困った時には専用の非日常サービスに移動してもらうことで収益化していきます。

 例えば、看護師向けのコミュニティサイトでは、日々の医療情報や余暇の使い方、キャリアアップについてなど、看護師特有のニーズに合わせた情報提供を行います。そして会員の方が転職を考えた時には、専用のサイトに行ってもらう、という流れです。

高齢社会に適した情報インフラを構築し、<br />隣接する領域にどんどん事業を立ち上げる毎年1万人が利用する看護師専門転職支援サービス「ナース人材バンク」
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――坂上:看護師側から考えると、日常的に有益な情報を発信してくれ、転職など困ったときにも頼ることができる、非常に役立つサービスになるわけですね。

諸藤:現在は、会員化した看護師から転職サービスという形で収益を上げています。将来的には医療情報が欲しい人に対して有益な情報を、この看護師の方々から提供することも考えています。今は、そのための見込み客を囲い込んでいるという状況です。

 他にも、在宅医療の分野で会員化している看護師と一緒に何かできる場をつくれないか、と模索しています。

――坂上:現在、看護師のコミュニティサイトの会員数はどれくらいでしょうか。

諸藤:約30万人です。看護師は全国に150万人ほどいると言われていますから、20%ほどの利用率になります。これほど多くの会員数を得られたことが、堅調な業績に結びついているのではないでしょうか。