異なる事業間の協力を推進する

――坂上:では強みの2つ目、事業を伸ばす実行力を持つことができたのはなぜでしょうか。

諸藤:事業の進捗状況を数値化する、いわゆるKPI管理をシステマチックに行っていることです。何か問題が発生した時、どのような施策を行なえば、どのような効果が得られるのか。これを定量的に社員がわかるようにすることで、自分は組織に与えられた役割の中で何ができるのか、が明確になります。

 そうすると、社員一人ひとりができる範囲で効果のある施策を行うことができます。このような共通のものさし、KPIをいかに設計するかが実行力には大切で、特に力を入れている部分ですね。

――坂上:強みの3つ目、事業間の相乗効果について教えてください。

諸藤:1つ目の事業を創出する力とも関連しますが、弊社が行っている事業はどこかで重なり合っています。

 例えば、弊社には「安心介護」というサービスがあります。日々の介護で困ったことを質問すると、ケアマネージャーや介護従業者などプロの方が解答してくれるというサービスです。これはケアマネージャーがコミュニティサイトで会員化されているからこそ、行うことができるサービスなんですね。

高齢社会に適した情報インフラを構築し、<br />隣接する領域にどんどん事業を立ち上げるケアマネージャーから介護の相談に答えてもらえるサービス「安心介護」
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 また逆から見ると、ケアマネージャーの方々が何か情報を発信したいと考えた時、一番満足度が高いのが介護で困っている方を自分の知見で助けてあげることなんです。ですから「安心介護」でその場を提供してあげることはコミュニティの運営にとっても効果的です。このように事業が相互に補完し合い、高い効果を生み出すことができることが大きな強みです。

 とはいえ、それぞれの事業の担当者は別ですから、ともすれば自分たちさえ良ければ他は関係ない、という考えに陥りがちです。そうならないために、お互いが協力する文化を醸成することが大事ですね。そのための仕掛けづくり、現状だと「シナジー会議」と呼ばれる場で、お互いがどのような点で協力できるのかを話し合っています

――坂上:部門間のエゴを無くして互いに譲り合うようにするために、大事にしていることを教えてください。

諸藤:採用、育成の段階での人材マネジメントですね。弊社は「情熱と誠実を持ってプロフェッショナルを追求する」という人材理念を掲げています。

 情熱とプロフェッショナルだけでは、自分勝手になってしまうことがあります。ですから、誠実さを兼ね備えた人を採用することを心がけています。

 そして、その人が誠実になれるような環境づくり。さらに事業も伸ばさないといけませんので、お互いが対立したときに、より高い次元で問題を整理することができるよう、日々努力しています。

次回は5月30日更新予定です。

高齢社会に適した情報インフラを構築し、<br />隣接する領域にどんどん事業を立ち上げる
【対談を終えて】ランチェスターの視点から~(株)フォスターワン 坂上仁志
「医療」「介護」「アクティブシニア」という3つの事業領域と、「エンドユーザー」「事業専従者」「事業者」の3人の顧客の交わるところで、23のサービスを提供するベンチャー企業の集合体。それ自体が他社との差別化となっています。今後は、医療分野の人材紹介事業で利用者数No.1のサイト運営だけにとどまらず、そのシナジー効果により差別化された事業が、数多く生まれる可能性を感じました。

 
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