アマゾンの週5日出社義務、現場は大混乱Photo:Noah Berger/gettyimages

 米 アマゾン・ドット・コム は数十万人の従業員に対し、フルタイムで出社する勤務形態に戻るよう命じ、応じない場合は別の仕事を探すよう求めた。だが一つ問題があった。オフィスの多くは全従業員分の机を用意していなかったのだ。

 深刻なスペース不足のため、アマゾンはヒューストン、アトランタ、ニューヨークなど米国各地の数十のオフィスで、出社義務付けを先送りした。一部の拠点に配属された従業員は、実際にいつからフルタイムで出社できるのか、今も連絡を待っている。

 また、週5日出社に戻ったものの、自分が属するチームのメンバーが同じ場所にいないというケースもある。従業員らは駐車場や座る場所、ビデオ通話のために1人になれる空間を確保しようと争っている。

 アマゾンは従業員にオフィス復帰を強く求めてきた。同社は昨年9月、35万人の従業員が今年1月から週5日出社態勢に戻る必要があると表明し、ハイテク業界に衝撃を与えた。これらの従業員は、倉庫作業員を含む全従業員の約4分の1に当たる。

 同社のアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は当時、従業員に対し、「共同作業やブレーンストーミング、何かを考え出すことが、より簡単かつ効率的になる」ため、皆がオフィスにいることは重要だと述べていた。アマゾンはリモートワークが行われていた新型コロナウイルス禍中に多くの人を採用したが、そうした従業員が出社したくないから退社するのなら、それで構わないという姿勢だ。