「オフィス復帰」拒否で失業した人たちPhoto:Boston Globe/gettyimages

 もしあなたがホームオフィスでこの記事を読んでいるのであれば、オフィス勤務復帰の義務付けで仕事を失う覚悟があるか、そろそろ考えた方がいい。

 オフィス勤務への復帰を緩やかに実施してきた企業がついに本腰を入れつつある。 アマゾン・ドット・コム は1月2日から従業員に週5日の出社を義務付ける。UPSや JPモルガン ・チェース、 ボーイング など複数の大手企業も、従業員の少なくとも一部に対して、週5日のオフィス勤務を命じた。

 出社指示に従わなかったことを理由にした即刻解雇はまれか、少なくとも事を荒立てないように処理されているようだが、解雇への不安は気のせいではない。複数の報道によると、ピュブリシス・メディアは10月、オフィスへの出社義務を無視した従業員数十人を解雇した。同社はコメントを差し控えた。 スターバックス は内勤の従業員に対し、来月から週3日オフィスに出社しない場合は解雇の可能性があると警告した。

ロブロックス やグラインダーといった企業は、義務付けられた頻度での出社を拒否する従業員に解雇手当を申し出た。スナップなどは解雇を実施し、オフィス勤務に関する目標に言及した。

 オフィス勤務への復帰との関連で失業した、あるいは近く失業するかもしれないと考えている10人以上に話を聞くと、解雇を通告されることより受け入れがたかったのは、これまでのような好条件のリモートワークやハイブリッドワークはもう二度とできないかもしれないと思い知ったことだったという。

 ステファニー・ピットマンさん(51)は11月、ビルメンテナンス会社の業者管理担当ディレクターとしてのリモートワークの仕事を失ったという。会社はカリフォルニア州にあるが、ピットマンさんは昨年の入社以来、カンザス州ウィチタの自宅で勤務していた。

 会社は従業員に本社への復帰を命じ、オフィスで働ける人材を雇い始めた。弁護士だったピットマンさんは前職のオフィス回帰の動きから逃れるため、ビルメンテナンス会社の仕事に就いた。子どもが4人いて、夫は裁判官として働いており、近くには高齢の両親が暮らしているため、ピットマンさんはウィチタから動けない。

 ピットマンさんのかつての仕事は今、オフィス勤務の仕事として募集されている。今のところパートタイムで法律業務を請け負っているため収入は変わらないが、給料が高くリモートで働ける仕事は見つかりそうにない。これまで100を超える応募書類を出したが、反応はほとんどない。

「イライラするし、やる気がそがれる」とピットマンさんは言う。