米国がパレスチナ自治区ガザ地区を所有し、そこに住む200万人のパレスチナ人を移住させるというドナルド・トランプ米大統領の構想は、激しい怒りや冷笑を引き起こしている。しかし、たとえ実現することがないとしても、この構想には良い点がある。それはイスラエルに対する世界のダブルスタンダード(二重基準)を浮き彫りにしたことだ。住民の移住は過去100年間に何度も起きている。1920年代には、ギリシャとトルコが強制的な住民交換で合意した。トルコ国内のギリシャ正教徒はギリシャに移住し、ギリシャ国内のイスラム教徒はトルコに移った。第2次世界大戦後には、何百万人ものインド人とパキスタン人が新たな家を見つけることを余儀なくされ、チェコスロバキアとソ連を追われたドイツ系の人々も同様だった。1970年代には、ウガンダがインド人を追放した。パレスチナのケースにおいてのみ、難民問題が延々と続いてきた。
【オピニオン】ガザ住民の移住、できないはずがない
トランプ氏の構想は新しい考えでなく20世紀に多くの先例
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