クリニックの大幅な経営改善につながったのです。インパクトがあったのが、税理士に医療器具などの減価償却の計算を見直してもらったことです。これで適正な費用処理ができ、結果としてキャッシュフローが改善されました。
また、クリニックの集客は好調で、今後も売り上げの伸びが期待できました。一方で心配だったのが税務調査です。しかし、税理士に頼んだことで、税務調査が入った際にも指摘を受けずに済むだろうという安心感も持てました。
自宅を仕事場にする人が陥りがちな罠
設備投資と減価償却はどうすればいい?
また別の例を紹介しましょう。Bさんは30代のフリーランスデザイナーで、自宅を仕事場として使用しています。以前は自分で確定申告をしていましたが、受注が増えて、事務処理が億劫になったので税理士に依頼しました。

「私が勉強不足だったのですが……自宅の家賃や光熱費の一部を経費にできることが分かったのは良かったです。パソコンやデザインのための特殊機材、机までも設備投資になり、適切に減価償却処理してくれました」とBさん。
「自分で確定申告していた年は経費にしていいのか迷うことが多くて……調べようにも、苦手なタイプの文章を読まなくてはいけないのが嫌で仕方なかったんです」。税理士に頼んで苦痛が軽減されたことで、デザインに集中できる時間が増えたのは大きなメリットでした。
ここで、税理士に依頼する際のメリットをまとめます。
1. 正確な申告でリスクを回避
• 法律に基づいた適切な処理をしてもらえるため、税務調査での指摘リスクが減る
• 減価償却の計算ミスなどを防ぎ、大きな差額を回避できる
2. 時間の節約
• 経理作業にかかる時間を削減し、本業に集中できる
3. 節税のアドバイスが受けられる
• 自宅を事務所代わりに使う場合、家賃や光熱費の適正な按分処理が分かる
• 経費計上の適切な範囲を理解でき、節税対策が明確になる
こうした半面、経費が厳しくチェックされるようになり、税理士への依頼費用とコミュニケーションが必要です。
最後に、税理士に依頼した場合、報酬をいくら支払うのかが気になりますよね?
ずばり言うと、税理士への報酬に定価はなく、金額にはかなり差があります。そして、報酬が高ければ高いほど税金が安くなるとか、何かサービスが良くなるかというと、そういうことはほとんどありません。
世間相場はあってないようなもので、それこそ一声3万円くらいから30万円くらいまでの差があるものです。
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一般的には事務所の規模が大きければ大きいほど、事務所の維持費や人件費をまかなうために報酬金額が高くなる傾向はあります。外資系の税理士法人に依頼すると、それこそ目の玉が飛び出るほどの金額を請求されることもあります。
街中の小さな事務所は維持費があまりかからないことや、場合によっては仕事が少ないからか、報酬金額が安くなる傾向があるようです。
しかし、極端に報酬が安いと、やはり「手抜き」が生じることはあるでしょう。書類のやり取りは郵送のみ、結果もメールや郵送で来るだけ。処理をするのも税理士事務所の職員だけで、税理士先生は中身を見てもいない、経費の精査もしていない、といった低レベルの事務所もあるようです。もちろん、面談なんかしない。
これがある程度の金額を要求する税理士は、責任感を持って職務に当たります。所得税の申告だけに限らず、事業の将来の展開などについてもいろいろと相談に乗ってくれることもあるでしょう。