
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年半続けてきた著者による「読んだらもっとドラマが見たくなる」連載です。本日は、第9回(2025年10月9日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)
「わたしひとりだけ幸せになってもつまらんと申しますか」
「あのあの話とはなんなんじゃいったい」
その“あの話”じゃない話がはじまった。第1週の木曜日(第4回)も家族の絆を感じさせるいい回だったが、第2週の木曜日もいい回だった。目下、木曜日は家族の回。
ふすまを閉めて3人になったトキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)と傅(堤真一)とタエ(北川景子)。
タエ「では傅」
傅「は!」
ってどういう関係性? 傅は婿養子なのかなと思う。
話題は次の見合いの話で、婿取りではなく嫁入りはどうかと傅とタエは提案する。つまりそれは松野の家を出ることを意味する。
ここでタイトルバックになり、ふすまの奥の司之介(岡部たかし)はまだ「あの話」にやきもきしている。辛抱たまらず司之介は盗み聞きしようと廊下に出ていく。フミ(池脇千鶴)もあとを追う。
傅たちはトキに、このまま貧しい家にいるよりも豊かな家に嫁いだほうがいいと勧める。
「あなたに幸せになってほしいのです」
ところがトキは「嫁入りは致しません、だってつまらんですから」「わたしひとりだけ幸せになってもつまらんと申しますか、幸せじゃないと申しますか、みんなで幸せになってはじめて幸せなので」と、なんていい子!
それを神妙に聞いている司之介とフミ。後ろにいるフミの顔はぼやけて見えない。でも、なんか伝わってくるのは池脇千鶴の力であろうか。
聞いているのは傅にバレていた。あの障子の感じだと影は映るだろうなあ。
トキの思いを聞いてくれたふたりに、トキは「おばさまー」「おじさまー」と抱きつく。それを見ている三之丞(板垣李光人)。氏松(安田啓人)は「やはりかわいいんだな」と意味深なことを言う。やっぱり、傅は「無類のおトキ好き」なのか。
そして2度目のお見合いの日――。