
賢く休むことで筋肉はさらに成長する――。日本体育大学教授で現役のボディビルダーである岡田隆氏は、約40年トレーニングと向き合い続けたなかで、筋肉・脳・メンタルを整える戦略的な疲労回復の方法にたどり着いた。その中でも、「睡眠」の量を増やし、質を上げることの重要性を強く説いている。本記事では、岡田隆の最新刊『究極の筋トレ休息法』(ポプラ社)から内容を一部抜粋・編集して紹介する。
「睡眠の質を上げる」
巷でいわれる「睡眠の質を上げる」という取り組みについて、私なりに噛み砕いてお伝えするならば、まず「必要な時間眠る」が必要条件となり、そして「深い睡眠をとる」が十分条件になります。
ただし、深い睡眠を得るための方法は無数に存在しますし、人によって合う合わないがあります。
そして、睡眠不足が続くような睡眠意識が高くない状況で、それらをすべて実践することは不可能ではないにしろ、現実的には難しいといえるでしょう。
これは、筋トレ初心者はビルダーと同じトレーニングができない、新入社員はベテラン社員のように働けない、などと同じです。目指す理想をすべて実現するためには、段階的に取り組む必要があります。そのなかで私が大切にしているのが「初手はひとつに絞る」ことです。
そこで、まず着手すべきは睡眠の「量」、つまり睡眠時間を増やすことです。まず量が足りなければ、どんなに質を高めても十分な疲労回復には至れません。しかしこれが難しい。このステップでつまずいて前に進めないパターンをよく見てきました。