アクション映画の殺し屋から一変!朝ドラヒロイン・高石あかりの役作りを支える“読みもの”とは【写真ギャラリー付き】高石あかりさん 写真提供:NHK

朝ドラこと連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK)の主人公は、松江の没落士族の娘で、『怪談』でおなじみの小泉八雲と結婚した小泉セツをモデルにした人物だ。演じるのは高石あかり(「高」の表記は、正確には「はしごだか」)。朝ドラの初週はたいてい子ども時代が描かれ、『ばけばけ』もそうだ。ただ、第1週の冒頭、未来の姿として登場し、第5回で18歳となり、第2週から颯爽と登場している。朝ドラヒロインとして注目されている高石あかりさんに取材した。(聞き手・構成/ライター 木俣 冬)

「朝ドラを見て、前を向かせてもらえた」

「小さい頃から朝ドラヒロインになるのが夢だった」と言う髙石あかりさん。

『ばけばけ』登場シーンの表情がいい。呆然とした困り顔が悲愴にならずユーモラスで、没落士族の貧乏暮らしを深刻になり過ぎずに見ることができる。落語の軽やかさみたいな感じだろうか。

 彼女にとって朝ドラヒロインとはどういうものだろうか。

「ヒロインにもいろいろなヒロインがいて、どのヒロインにも素敵だなと思うのが、何か壁に当たった時に、壁があったからこそつながったっていう未来が見えることなんです。

 朝ドラを見て、そういう場面でいつも、前を向かせてもらえたなと思っています。楽しいことだけではない。辛いこともあるけど、その辛さを前向きに捉えることができるんだと毎回朝ドラを見るたびに思っていて。

 今回のトキは、これまでのヒロインたちとはまた違った前の向き方かもしれないですけれど、トキなりのやり方を見て、視聴者の方々に前向きになってもらえたら一番うれしいと思います」

 トキの家は明治維新で武士として生きていけなくなり、父は生きるために別の仕事をせざるを得なくなっている。トキ自身も家を助けるために知恵をしぼる。

 面白いのは、トキは落ち込んだとき、母に怪談を聞かせてもらって元気になることだ。それがやがて日本の怪談に興味をもつヘブンとの出会いにつながっていく。

「落ち込んだとき怪談をせがむというのは史実なんです。トキのモデルの小泉セツさんも母親から怪談を聞かせてもらっていたそうです。本当にあったことで、こんなに可愛らしくて素敵なお話があるんですね」

 トキは怪談、では高石さんは落ち込んだとき元気になるものは?