「あなたは会社は、講演や会議などで積極的に質問が出ますか?」
そう語るのは、これまでに400以上の企業や自治体等で組織変革の支援をしてきた沢渡あまねさん。その活動のなかで、「人が辞めていく職場」に共通する時代遅れな文化や慣習があると気づきました。
それを指摘したのが、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』。社員、取引先、お客様をうんざりさせる「時代遅れな文化」を指摘し、現場から変えていく具体策を紹介。「まさにうちの会社のことだ!!」「すぐに実践してみます!」と、とくに現場リーダー層を中心に多数の反響があり話題に。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「体質が古い会社の特徴」を紹介します。

会議や講演会で沈黙の多い組織
社内講演会や会議などで、その組織の体質が如実に表れるのが質疑応答の時間だ。
筆者はこれまで400を超える企業や自治体で講演や対談に出演している。聴講者として講演会や社内会議に参加することもある。
質疑応答になった瞬間、参加者は司会者から目をそらし、誰も手を挙げない組織もある。
見かねた事務局の担当者が「では、私から……」と小さく手を挙げて質問するのが常である。
こういった場面に直面すると、「この会社は人前で意見を言いにくい文化なのだな」「質問するだけでもリスクを恐れなくてはいけない体質なのだな」と感じてしまう。
会議で質問が出ない「4つの理由」
大勢の前で手を挙げて質問しにくい要因はいくつか考えられる。
①恥ずかしい
見当違いなことを質問してしまい、残念な人だと思われたくない。バカにされたくない。そのような心理的なブレーキもあるだろう。
②悪目立ちしたくない
積極的に手を挙げると「意識の高い人」だと思われ、悪目立ちしてしまう。だからおとなしくしていたい。なるべく目立ちたくない。
③怒られる
「そんなこと聞いてどうするの?」「そんなことも知らないの?」など上長や周りのメンバーから怒られた経験がある。あるいは他の人が叱責を受ける場面に居合わせたことがある。
④思考する習慣、言語化する習慣がない
他人の話を自分ごととしてとらえて思考することに慣れていない。疑問や課題やモヤモヤを言い表す習慣も能力もない。そもそも話の内容が難解で何を質問したらよいのかわからないケースもあるだろう。
「発言できる空気」をつくっていこう
一方で、活発に質問したり所感を述べたりする人たちが多い組織もある。
不慣れな参加者でも安心して質問や所感を言語化し、発言できる空気をつくっていこう。
そのためには、以下のような行動が有効だ。
・まずは自分が率先して手を挙げる
・疑問点を書き出すなどして場に出す
・グループワークを挟む
こうした行動から、個人の発言が受け入れられ、尊重される体質が生まれていく。
まずは現場から、あなたから、行動を起こしていこう。
(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。書籍では、「発言が出ない会議」を変えるための具体的な方法も紹介しています)